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日々運営しているコールセンターの生産性を管理するうえで各種KPI・指標の把握は重要です。例えば、コールセンターの稼働コストに直結している「対応件数」を増やすことができれば、より“生産性の高いコールセンター”として主張することができます。
しかし、特定のKPI数値だけを改善し続けていく努力が適切かどうかは、取り扱っている商品やサービス、社内でコールセンターに求められる機能によっても異なります。また、下手にスピード重視な対応をすると、案内ミスの増加や、お客様満足度の悪化といった悪影響も懸念されます。
今回は、コールセンターの生産性を把握するために必要な5つのKPIについて解説します。健康診断項目ともいえるそれぞれのKPIを把握することで、コールセンターとオペレーターの状況を把握し、改善にどのような施策が考えられるかを検討しましょう。
CPHは1時間あたりに対応可能な件数を示す指標です。
CPHはオペレーター1人当たりの指標として管理するだけでなく、センター全体の指標としても管理できます。まずはセンター全体の現状を知るためにも、センター全体のCPHを出してみましょう。
また、CPHはコールセンターで着信する問合せ件数にも影響されるため、繁忙期には増加し、閑散期には減少します。他にもオペレーターの出勤状況や突発的なイベント等による環境要因でも増減があるため、CPHの改善を検討する際には、こうした環境要因がどの程度影響しているのかも把握しておきましょう。そのうえでオペレーターごとのCPHを計測し、算出した平均値とオペレーター個々人のCPHを比較して改善の余地があるのかを確認します。
ただし、CPHが高ければ高いほど良いのかというと、それはコールセンターとして実現すべき機能や、取り扱う商品、サービスによって異なります。
例えば、お客様からのご相談窓口の場合、件数を多くこなすことよりも、いかにお客様の悩みに寄り添い、わかりやすい言葉運びで解決に導けるかが問われます。この場合は問い合わせごとに対応時間も変化するため、一概にCPHだけで良し悪しを判断することはできません。
一方で、受注窓口の場合は、窓口全体で画一的な対応となることが多いため、オペレーターごとのCPH向上を目的とした改善施策がコールセンター全体の売り上げ向上にもつながり、効果的な施策となり得ます。
CPHは対応件数を把握する指標でしたが、CPHを改善するにはその係数の内訳となる通話時間の把握が必要です。この通話時間を確認するKPI・指標がATTとなります。
ATTはオペレーターが1コールを処理するのに必要な平均通話時間です。オペレーターの対応した全ての通話時間を加算し、対応した件数で割ることで算出します。
単位は分でも秒でも構いません。ATTの改善はCPHの改善にもつながりますが、CPHのご説明でもお伝えした通り、短ければ短いほど良いというわけではありません。ATTを改善するにはオペレーターごとの対応内容をモニタリングし、保留時間が長時間に及んでいないか、対応の内容に無駄がないか、ヒアリングする要件や、ご案内の内容に簡略化できる箇所がないかなどを確認し、オペレーターごとに指導していく必要があります。
ただし、ATTの改善に一生懸命になりすぎると、オペレーターも早口になってしまったり、お客様の応対を早く終わらせようとしてしまったりと、お客様の満足度に悪影響を及ぼす可能性もあります。自社サービスのお客様にとって心地よい対応のできるATTがどの程度なのかも併せて確認しましょう。
ACWはオペレーターが通話終了後に行っている作業時間を表す指標となります。算出にはCTIなどのコールセンターシステムで記録されている通話終了後のワーク時間を使い、日毎や月毎に平均値を算出します。
ACWの算出根拠となるワーク時間では、オペレーターがお客様との通話完了後に通話内容を記録する時間となります。熟練したオペレーターになると、通話しながら通話内容を記録するといったことも往々にあるため、オペレーターごとに差が出やすい値です。コールセンター全体でACWの短縮化を図るためには、オペレーターのタイピングスキル向上といった施策も考えられる一方で、オペレーターごとに記録の内容に違いがないか、記録している内容が本当に必要な内容なのかも含めて確認が必要です。
また、ある程度記録する内容が定型化できる場合には、チェックボックス形式にする事によってACWの短縮を図ることも可能です。
通話終了後に入力される記録は、後にコールセンター全体での顧客満足度(CS)調査や、お問い合わせの傾向分析、オペレーター個々人の対応内容チェックなどにも利用される重要なデータとなりますので、慎重に検討しましょう。
AHTは先述のATTとACWを足した時間となります。オペレーターの通話開始から後処理完了までに発生する対応の平均処理時間を示すもので、CPHと同様にコールセンター全体のサービスレベルを推し量る重要な数値の一つです。
AHTを把握できていれば、着席するオペレーター数との掛け算で日々の計画を立てることが出来ます。繁忙期など着信数の予測が大きく上振れする時期には、AHTを参考に必要な人員数を算出する事が出来ます。
また、AHTの短縮化を図ることがコールセンター全体の効率化と処理件数改善につながるという見方もできますが、係数となるATTおよびACWの数字をよく確認し、どちらに課題があるのか、もしくは両方の改善が必要なのかを取り扱っているサービスや商品、対応する内容、繁閑の時期などよく確認したうえで検討しましょう。
稼働率は、オペレーターがコールセンターに出勤(ログイン)してから退勤(ログアウト)するまでの時間をどれだけ応対業務に充てているかを見る指標です。
稼働率はオペレーターの稼働状況を見るだけでなく疲労度をみる指標としても使われおり、80%から85%程度が目標値とされています。
この指標を計るうえで重要なのは、ログイン、ログアウト、離席の基準や定義を明文化し、コールセンター全体で統一されていることです。お昼休憩は離席なのか、ログアウトなのか、トイレ休憩の際に離席ボタンは押しているか、といったルール作りです。ログイン時間は給与支払いの対象時間であること、という基準で見られるため、お昼のランチタイムなどが支給対象外である場合には、その時間はログアウトするのが適切です。
ログイン時間の管理は重要で、オペレーターによってログアウトしていたり、離席ボタンで済ませている人がいたりと統一されていない状況だと、オペレーターごとの稼働率の比較が出来ないため、稼働率を計る際にはこのあたりの運用状況を再確認しておきましょう。
また、オペレーター全体の稼働率に大きく波がなく、着信件数と対応件数のバランスにも問題がないにも関わらず稼働率が70%以下となるような場合には、オペレーターの人数が過剰である可能性があります。
逆に、85%以上となっている場合にはオペレーターが不足している状況とも考えられます。人員数を再検討する際には、現状のATTやACWの内訳も確認し、効率化できるところを見極めた上で、妥当性を判断しましょう。
上述した5つの指標を定期的にチェックし、推移を管理していくことができれば、生産性の最大化を目指すうえでの課題が見えやすくなり、同時にオペレーターごとの課題も確認することができます。
ただし、コールセンターにおける生産性は運営するセンターに求められる機能や取り扱う商品・サービスによってその内容は異なります。大事なのはあくまでもお客様に満足いただける対応を提供することです。その前提を意識したうえで、どの程度の対応時間が必要なのかを把握し、コールセンター全体、オペレーターごとに改善できる部分から取り組んでいくといいでしょう。
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