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近年、インターネット回線や端末の進化、新型コロナウイルス感染症などの影響により、職場に出社せずリモートで業務を行う「テレワーク」を取り入れる企業が増えてきました。対面で業務を行う場合と異なり、テレワークにおいては、コミュニケーションの方法に課題が生じます。
本記事では、テレワークにおけるコミュニケーションの不安や課題とそれを解決するための5つの工夫ポイントと、必須となる3つのツールをご紹介します。
サイボウズ社の調査によると、テレワークで職場の人とコミュニケーションをとることに関して、50%を超える人が不安やストレスを感じていることがわかりました。
在宅勤務で職場の人とコミュニケーションをとることについて、業務に関わるコミュニケーション、業務に関わらないコミュニケーションのいずれにおいても「コミュニケーションがしにくい」と答えた人は5割を超えます。年代が下がるほど増え、20代では6割を超える結果となっています。
※引用元:https://teamwork.cybozu.co.jp/blog/telework-communication.html
また、在宅勤務による「職場の人との関係性変化」では、「何をしているか分かりにくい」「話さない人が増えた」と答える人が6割にものぼっています。特に、20代では「自分がどう映っているか不安」とする人が5割を超え、30代でも4割を超えたことから、若い世代ほどオンライン会議のような画面越しのコミュニケーションにおいて、自分の見られ方に不安を感じていることがわかります。
テレワークにおけるコミュニケーションでは、実際に相手にコンタクトするまでの心理的障壁が高くなりやすい傾向にあります。オフィスにいれば相手が通りがかったときに呼び止めたり、ランチのついでに話を切り出したりすることもできますが、テレワークでは相手のタイミングや状況をはかりにくく、業務に直接関わらないコミュニケーションは遠慮してしまいがちです。
雑談をなくし、業務上のやりとりに限ったコミュニケーションを行うことは一見、業務効率を上げて生産性を高められるように思えますが、実際には職場の同僚や上司との距離を心理的に遠ざけ、業務との関連性に関わらず、コミュニケーションにおける心理的障壁を高くしてしまいます。
そこで、テレワークにおけるコミュニケーションでは、次に紹介する5つのポイントを工夫すると良いでしょう。
テレワークにおけるコミュニケーションでは、前述のような心理的障壁をできる限り取り除くため、お互いの状況や心理的状態をオープンにするとともに、業務に関わらないコミュニケーションも意識的に取り入れていく必要があります。具体的には、以下の5つのポイントを心がけましょう。
テレワークにおいて「相手が何をしているかわからない」というのは大きな心理的障壁の一つです。
例えば、「部下に仕事を任せたが進捗状況に不安がある」「先輩や上司に質問したいが相手からすぐに返事がもらえるかわからない」といった状況が考えられます。
進捗状況を細かく報告したり、予定の共有をこまめに行ったり、体調不良を早めに相談したりすることでこうした不安や障壁を取り除けるでしょう。
聞かれたことや意見を求められたことに対するレスポンスは可能な限り早く行いましょう。
Web会議などで積極的に発言するのは苦手という人もいますが、普段から他の人の発言に気をかけて素早いレスポンスを心がければ、自然と発言できるようになるでしょう。
とはいえ、相手にも同じ速度のレスポンスを求めるのは避けた方がいいでしょう。
テレワークに限った話ではありませんが、相手に何かを求めたり過度な期待をしてしまうと、かえって自分自身のストレスの種になりかねません。スタンスや哲学・美学といった類いのものは、あくまで自分自身の中だけで貫くべきものです。
どうしても急いで回答が必要な場合は、期限を定めておくとコミュニケーション上の摩擦が起こりにくくなります。
チャットやメールなど文字でのコミュニケーションが中心となるテレワークでは、だらだらと文章で書くと要点が見えにくく、読みづらくなってしまいます。
自分が聞きたいこと、話したいことを整理して伝えることが重要です。できるだけ要点を箇条書きにまとめ、見やすく読みやすいコミュニケーションを心がけましょう。
チャットやメール以外にも、Web会議でコミュニケーションをとる機会も多いでしょう。その際には、映像なしでの参加でももちろん問題はないですが、できるだけ映像・ビデオをONにして、お互いの表情を確認できるようにすると良いでしょう。
チームワークや一体感を感じられるほか、体調やメンタルヘルスにも気を配りやすくなります。
業務と関係のない雑談は一見、非効率に思えますが、気分を切り替えたりチーム内の信頼関係を築いたりするのに大きなメリットをもたらします。
オフィスで仕事を行う場合は、意識せずとも誰かに話しかけられますが、テレワークではなかなかそうもいきません。孤独感や不安感を抱えてしまう前に、雑談専用のチャットを作るなどして積極的に息抜きのコミュニケーションを行いましょう。
テレワークでのコミュニケーションには、以下3つのツールの整備が重要です。
「ビジネスチャット」「Web会議システム」「ナレッジマネジメントシステム(FAQシステム)」の3つについて、順に確認しましょう。
ビジネスチャットはメールと比べて定形文的なやりとりが求められず、SNSなどのコミュニケーションに親しんできた若手世代にも使いやすいコミュニケーションツールです。複数名でやりとりする場合でも、わずらわしさがありません。業務連絡用のチャットと雑談用のチャットを分けておけば、よりコミュニケーションがとりやすいでしょう。
言うまでもないとは思いますが、やはりWeb会議システムも必須です。
細かい工夫をするにしても、テキストでのコミュニケーションには限界があります。Web会議システムを活用することで、文字では伝わりにくい細かなニュアンスの説明や、資料を用いた情報共有なども行えます。画面を通して相手の表情を見たり声を聞いたりすることで、安心感にもつながるでしょう。
意外と盲点とされているのが、ナレッジマネジメントシステム、主に「FAQシステム」の活用です。
FAQシステムは、個々人の持つ業務ナレッジやノウハウから、社内の各種ルール、テンプレートなどをデータベース化することが可能です。
既にテレワークに取り組まれている方々には共感いただけるかと思いますが、テレワークでは“無駄なコミュニケーションコスト”が生じやすいものです。
「あの資料どこだっけ?」「過去のデータってどこ?」「この業務ってどうやって進めるもの?」等々、業務の中でちょっとした疑問や不明点があった際に自己解決していくことが求められますが、「誰に聞くべきだろう、なんて聞くべきだろう」などと悩んだり相談したりすることでいたずらに時間が奪われてしまいがちです。
そうした、社内の「どこ?」「どうやって?」という疑問を解消できるのが「FAQシステム」であり、コミュニケーションコストの削減には必須といえます。
なお、ナレッジマネジメントに基づくFAQシステムを運用についてはこちらの記事をご覧ください。
テレワークにおけるコミュニケーションでは、相手の状況や予定、体調やメンタルなどの状況がわかりにくいという課題や不安があります。そのため、自分の状況や予定を積極的に共有したり、Web会議で顔を見て肉声でのコミュニケーションをとったり、意識的に雑談を取り入れたりする工夫が必要です。
「ビジネスチャット」「Web会議システム」「ナレッジマネジメントシステム(FAQシステム)」の3つのツールを活用し、テレワーク時代におけるコミュニケーションの課題や不安を払拭しましょう。
また、テレワークでの生産性向上については、こちらの記事もぜひご参考ください。