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コールセンターにおけるサービスレベルとは?基準や計算式、改善方法 - CXジャーナル

作成者: CXジャーナル編集部|Dec 7, 2022 3:00:00 PM

コンタクトセンターやヘルプデスクなどのインバウンド業務において、サービスレベルは意識すべき指標です。あらかじめ設定した時間内に入電から通話の終了まで、どれだけの回数をこなしたか把握できるためです。

コールセンター業務における顧客満足度の向上には、顧客一人当たりの保留時間を測定して評価し、できるだけ短縮を目指す方法が検討されます。オペレーターがこなす顧客対応の回数を見直すことで、顧客満足度の向上やサービス品質の改善が可能です。そこで、本記事ではサービスの基本と改善方法について解説します。

コールセンターにおけるサービスレベル(SL)とは?

サービスレベルとは、設定した時間内で応答できたコールの割合のことで、電話のつながりやすさを表す指標として、コールセンター業務のKPIに用いられます。またService Levelの頭文字を取ってSLと表記されることもあります。

サービスレベルの計算方法

サービスレベルを算出するには、以下の計算式を利用します。

計算式:設定した時間内の応答件数 ÷ 着信件数

例えば1,000件の着信のうち、900件の着信に設定した時間内に対応できた場合は、以下のようになります。

900件÷1,000件=90%

サービスレベルの基準

サービスレベルは、一般的に20秒以内に80%以上の電話に応対することを基準にしている場合がほとんどです。残りの20%の中には、20秒以上かかって応対したものも含まれます。サービスレベルが向上すると、顧客の待ち時間が減るため、顧客満足度の向上や放棄呼率の減少が期待できます。

サービスレベルと応答率の違い

応答率とは、コールセンターにかかってきたコールにオペレーターが応対できた割合のことです。例えば応答率が90%の場合、残り10%は応対できなかったことを表します。

一方でサービスレベルは、一定の時間内に「どれだけ電話に出ることができたか」を表す数値であり、応答の可否を示す指標ではありません。ただしサービスレベルも応答率も、電話のつながりやすさを示す指標です。一般的に応答率が悪くなるとサービスレベルも低下する傾向があるため、両方とも決して無視できない数値です。

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コールセンターのサービスレベルが低下する理由は?

サービスレベルの低下は顧客満足度の低下にもつながるため、数値が下降気味になった際は対策を行う必要があります。ただし対策を実施する前に原因を特定することが大切です。

(1)オペレーターの人数が足りていない

オペレーターが不足している場合は、受電するまでの速度が遅くなります。オペレーターを増員するか、適切に配置し直す必要があるでしょう。具体的には、専門性が高い人材を短期間のみ自社へ派遣できるアウトソーシングや外部委託などで、人員を確保する方法も効果的です。

 

(2)オペレーターのスキルが不足している

オペレーターの人数は足りていてもスキルが不足している場合には、顧客の問題解決や後処理に時間がかかり、サービスレベルが低下することがあります。研修を行い、オペレーター一人ひとりのスキルアップを図りましょう。

(3)業務効率や業務フローに問題がある

サービスレベルが低下した際は、業務効率や業務フローも見直した方がいい場合があります。

例えば、顧客対応がメインのコールセンターに、取引先企業からのお問い合わせや営業の電話対応までお任せしている場合、オペレーター1人当たりの負担が大きくなります。また取引先とのやり取りが発生しているために、顧客からの入電に応答できなかった場合もあるでしょう。顧客対応を担当する部署と取引先とのやり取りを行う部署は別々にすることが望ましいです。

またお問い合わせ先へ電話してから担当オペレーターにつながるまでの工程が長い場合も、サービスレベルの低下につながります。顧客が問い合わせた際に「複数のオペレーターをたらいまわしにする」、「ほかの電話番号をアナウンスして顧客に再度電話をかけさせる」などの対応をしている場合、サービス自体から離れるリスクもあります。

できるだけ早く担当オペレーターにつながるよう配慮しましょう。またお客様自身に電話のかけなおしをさせることがないようオペレーターがほかのオペレーターへ引き継いであげると親切です。

コールセンターのサービスレベルを改善するための方法

サービスレベルが低下する原因がわかれば、解決の糸口がつかめます。原因の内容別に、改善方法を把握して実践しましょう。またサービスレベルが低下していなくても、あらかじめ対策を実行しておくと、緊急時や思わぬトラブル時に慌てなくて済むでしょう。

(1)オペレーターを適切に配置する

オペレーターの配置を改善することで、サービスレベルの向上が見込めます。問い合わせが多い時間帯や時期に適切な人数のオペレーターを配置しましょう。オペレーターの管理ができていない場合には、ワークフォースマネジメント(WFM)システムの導入をおすすめします。

ワークフォースマネジメントシステムとは、サービスの質を落とさずに、効率的な人材配置を行うことで、サービスの品質向上と人件費削減の両立を補助するシステムのことです。

(2)平均処理時間(AHT)を改善する

平均処理時間(AHT)とは、オペレーターが顧客一人の問い合わせ対応にかかる時間の平均を表しています。ATHが短いほど多くの電話に対応できるため、サービスレベルの低下防止につながります。

平均処理時間(AHT)については、以下の記事で詳しく解説しています。
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(3)平均後処理時間(ACW)を改善する

平均後処理時間(ACW)は、顧客対応終了後に、必要事項の記載や報告書の作成など、次の顧客対応ができるまでの時間を表しています。ACWが短いほど多くの顧客対応が可能となり、サービスレベルの上昇に役立ちます。顧客と通話している間に簡単に操作できるなど、できるだけ必要な後処理内容を少なくシンプルにすることが望ましいです。

 

 

平均後処理時間(ACW)については、以下の記事で詳しく解説しています。

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(4)平均通話時間(ATT)を改善する

平均通話時間(ATT)は、入電があった顧客との通話時間の平均値のことです。ATTが短いほど顧客対応できる数が増えるため、短縮を図る必要があるでしょう。オペレーターが迷わず対応できるようトークスクリプトやマニュアルを改善する、研修を行いスキルアップを図るなどの方法などがおすすめです。

(5)ツールやシステムを導入する

チャットサービスやFAQの整備など、できるだけ顧客自身で問題が解決できるよう環境を整えることも重要です。チャットサービスとは、複数の選択肢を表示して顧客に選択してもらうことで問題の解決へ導くサービスです。導入することでお問い合わせをする顧客の数が減らせるため、オペレーターへの負担が減らせます。また自動音声応答(IVR)機能もおすすめです。

また同じ内容のお問い合わせが続く場合は、WebサイトにFAQを設置することで、顧客の自己解決率向上につながります。

コールセンターのサービスレベルを上げるなら自己解決率の上昇を

コールセンターのサービスレベルは、設定した時間内でどれだけの顧客対応ができたかを表す指標で、数値化して明確にすることで、達成すべき目標が可視化できます。そのためレベルが高ければ高いほど顧客満足度の向上につながるため、常に分析しチェックしなければならない指標です。

サービスレベルの低下を防ぐポイントは、オペレーターの応答速度や業務フローの見直しなどがありますが、おすすめの対策方法は、顧客の自己解決率を上げることです。

自己解決率を上げる方法として効果的なチャットボットの導入やFAQの整備などは、初期費用がかかります。しかし長期的にみると、オペレーター1人当たりのコール数の減少や1コールにおける時間の短縮が期待でき、生産性が向上します。

またオペレーターの負担も減らせて離職率の低下にもつながり、増員する必要も少なくなるため、人件費コストの削減ができるメリットもあります。

「PKSHA Voicebot」は毎月25万件のコールに対応し、多くの企業の放棄呼率/応答率の改善に貢献しています。

製品に搭載されたAI機能が、お問い合わせをした顧客への応答を自動で行ってくれるため、オペレーター1人当たりの負担を大幅に軽減させ業務の効率化が図れます。

詳細が記載された資料がありますので、システムの導入を検討されている方はぜひこちらよりお申し込みください。

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