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マーケティングに欠かせない代表的な指標「リテンション率」。
リテンション率は、継続的な事業成長を実現するうえで重要な指標です。
当記事では、リテンション率の重要性と基礎、計算・改善方法について解説します。
リテンション率の意味と計算方法について説明します。
リテンションは英語で「Retention」といい、保持や維持という意味を持ちます。マーケティングにおいては既存顧客の維持と定義され、自社のサービスや製品を顧客に継続的に使用されることを指しています。
また、リテンション率(リテンションレート)は一般的に「定着率」もしくは「継続率」という意味で用いられます。一定期間内に取引を継続している顧客の割合を示しているため「顧客維持率」と呼ばれることもあります。
リテンション率の数値が上がるほど顧客との関係性も良好になり、継続的に利益を上げやすい状況であると判断できます。
SaaSビジネスをはじめとして、契約後に月額制など定期的に支払いを受ける「サブスクリプションサービス」においては、リテンション率は売上を左右する非常に重要な指標であります。
昨今、サブスクリプションビジネスモデルはBtoB/BtoCを問わず広がっているためリテンション率も注目が集まっているのです。
リテンション率を計算するには、まず対象となる一定の期間を設定しなければなりません。そのうえで、期間内で計測できる以下の3つの数値を収集する必要があります。
● 期間開始時の顧客数
● 期間中に獲得した新規顧客数
● 期間終了時の顧客数
上記の数値を収集したら、次に以下の計算式に当てはめることでリテンション率を算出できます。
【計算式】(期間終了時の顧客数-期間中に獲得した顧客数)÷期間開始時の顧客数×100
例えば、期間開始時の顧客1,500人、期間終了時の顧客数1,400人、期間中に獲得した顧客数200人の場合のリテンション率は80%となります。
(1,400人-200人)÷1,500人×100=80%
リテンション率の向上で得られる代表的なメリットとしては「LTVの向上」、「口コミ(UGC)による認知拡大」、「アップセル・クロスセルの獲得」が挙げられます。それぞれを具体的に確認してみましょう。
LTV(ライフタイムバリュー)は「Life Time Value」の略語で「顧客生涯価値」と訳されます。1人の顧客から生涯にわたって得られる利益のことで、中長期的な成長戦略においては特に重要な指標といえるでしょう。
リテンション率とLTVは密接な関係であり、リテンション率が上がれば継続的にサービスを使用してくれる顧客が増加していることを示しているので、結果的にLTVの向上に繋がります。
また、LTVが低下する一因の「チャーンレート(解約率)」もリテンション率が高ければ改善することができます。チャーンレートが低くなる(改善される)と結果的にLTVが高まり、新規顧客の獲得にかけるコストやリソースを抑えつつ安定的な収益の確保に繋げられるというわけです。
リテンション率が高い状態を維持できれば、自社のサービスや商品を使用し続ける人が増え、愛着や信頼感を抱いてくれる顧客「ロイヤルカスタマー」の増加にも繋がります。
ロイヤルカスタマーは、積極的に気に入っているサービス・商品のPRなどを行ってくれるため、口コミやSNS、評価サイトで好意的な意見・UGCを投稿・紹介してくれる可能性が高まります。
その結果、自社のリソースを割かなくても企業や商品、サービスの評価の向上を実現しやすくなる環境の構築も期待できるでしょう。
利用している商品やサービスの満足度が高く、継続的に使用している顧客は、新商品や他のカテゴリーのもの購入にも前向きなケースが多いです。
リテンション率が高いということは、継続利用している顧客の割合が高いという状況なのでアップセル・クロスセルによる顧客単価の向上を図りやすく、好ましい環境と判断できます。
リテンション率を高める方法としては「顧客対応の品質向上」、「ロイヤルカスタマーに対する適切なアプローチ」、「アフターフォローの強化」、「CXの質向上」、「管理体制の強化」の5つが代表的です。
それぞれの概要を解説していきましょう。
サービスや製品の品質だけでなく、コールセンターやコンタクトセンターといった顧客との最初の接点(タッチポイント)における対応の質向上は、顧客が抱える問題のスムーズな解決は満足度や企業イメージのアップに直結するため、リテンション率を高める重要な要素の1つといえるでしょう。
品質向上の施策としては「オペレーターの教育」による個々のレベルアップとスキルの平準化」や「自動応答システムの導入」による放棄呼の防止などが考えられます。
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ロイヤルカスタマーは、一般的な顧客と比べると購買フローが短いためアップセル・クロスセルを提案しやすい傾向があります。
ロイヤルカスタマーへの適切なアプローチもリテンション率の向上につながるでしょう。ロイヤルカスタマーを測る顧客分析としては、LTVのほかNPSやRFM分析が代表的な手法です。
「あなたは利用している商品・サービスを友人や知人、同僚に薦めたいと思いますか?」という質問に対して0~10点で採点し、批判者・中立者・推奨者にグループ分けして顧客ロイヤリティを分析する方法です。
※「NPS®」は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)を総合的に判断し、優良顧客・休眠顧客・新規顧客などに分類する方法です。
購入後、接客後のアフターフォローもサービスや自社によるイメージ向上に直結します。
商品の品質が良かったとしても、接客が悪ければ競合他社への乗り換えを検討されるリスクが高まるので、DMやメールなどのフォローを行う必要があるのです。
CXとは「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略称で、日本語では「顧客体験」といいます。
商品やサービスを利用することで顧客が得られる体験や評価を意味しており、顧客視点で商品・サービスの使用感などを分析し、品質改善を繰り返すことでCXを高められます。
CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で直訳すると「顧客管理関係」という意味になります。
マーケティングやカスタマーセンター、カスタマーサクセスなどの領域などでは、主に顧客管理ツール(CRMツール)を指すことが多いです。
CRMツールを導入する主な目的は、既存顧客の情報の収集、管理の効率化です。顧客ごとの購入履歴・リピート率を分析しやすいため、ロイヤルカスタマーの抽出や適切なタイミングでのフォローといったリテンション率向上に必要な施策をより効果的かつ省労力で行いやすくなります。
リテンション率は長期的、効率的な事業展開の実現には欠かせない指標ですが、改善するには情報の収集、分析、施策の実行、結果の分析などを長期的に繰り返す必要があります。
必要に応じて各種ツールを活用し、業務全体の見直しやリソースの再配分等も考慮していくといいでしょう。
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