マニュアルを作成すれば、業務の属人化解消や効率化に繋がることが期待できます。
本記事では、業務マニュアルを作成・導入するメリット・デメリット、実際の作成手順について説明します。
「業務マニュアル」とは、標準的な業務手順を記載した手順書のことです。
具体的には、業務の全体フローやゴール、具体的な手順、注意点など業務に必要な知識などが含まれます。
企業が業務マニュアルを作成・導入する目的は、業務効率や業務品質の向上、属人化の解消などが一般的です。
業務マニュアルを作成・導入することには以下の3つの大きなメリットがあります。
業務に共通の基準を設けることで業務の品質が安定します。また、手順が可視化されることで作業時間の短縮にも繋がります。
例えば、飲食店で、あるメニューを作る工程をマニュアル化するとします。各工程にかける時間や使う材料の特徴や量、どんな器に盛るかなどをすべて前もって記しておけば、顧客は毎回同じ品質のメニューを楽しむことができます。
マニュアルを作る側も料理の経験や技術に頼ったり、判断に迷ったりすることなく、マニュアルをチェックしながら調理すればよいためミスやトラブルも減ります。仮にミスが発生した場合でも、マニュアルに基づいて原因究明がスムーズであり、次回に向けた改善を行えます。
加えて、業務の品質が均一化・標準化できれば、迷う時間をなくせるためコスト削減にも繋がるでしょう。
業務の「属人化」を防止するとは、端的にいうと「誰でもその業務をできるようになる」ことを意味します。
例えば、昔ながらの伝統工芸やいわゆる「職人の業」は属人化の典型例です。
こうした技能は簡単に言語化できない部分も多いためマニュアル化が難しく、学ぶためには見て覚えるしかありません。一人前には何年も何十年もかかる世界ですが、ビジネススキルやコミュニケーションスキルの多くは言語化、マニュアル化が可能です。
そうすることで、「○○さんが出勤していないので、職場が機能しない」や、「○○さんの退職後、誰もその代わりができない」といった事態を回避できます。
また、単に業務効率化の観点からだけでなく、コンプライアンス遵守のためにも属人化リスクは可能な限り防止すべきでしょう。
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マニュアルの作成・導入により、早期の人材育成が可能になります。
マニュアルがなければ、新入社員や転職者は業務経験者から学ぶしかありません。しかし、社員それぞれ業務を抱えており、人材育成のために多くの時間を割くことは困難です。
業務全体の全体像や各業務に必要なナレッジが一冊にまとめられたマニュアルがあれば、各人が状況に合わせ情報収集を行い、自分で解決策を見つけていくことができます。
もちろん、マニュアル だけで人材育成や新人教育を完成させることは困難ですが、マニュアルがあることでかなりの時間短縮に繋がります。
社内で業務マニュアルの作成・導入はメリットだけではありません。ここでは2つのデメリットについて取り上げます。
いわゆる「マニュアル人間」「マニュアル対応」といった言葉が示す通り、業務マニュアルがあることで、「ルールさえ守ればよい」と考えて、従業員が自ら考えて行動しなくなるリスクがあります。
マニュアルが制限となり、自発的な行動や発言など自由な発想を阻害してしまう可能性が考えられるのです。
上述したように、マニュアルは時間をかけて行う会社の研修や教育の肩代わりをする役割もあります。そのためには「マニュアルを参照すれば問題が解決する」という従業員からの信頼感が不可欠です。
もし、マニュアルをみても必要な情報にアクセスできないとすれば、マニュアルは徐々に活用されなくなっていくでしょう。しかし、それだけのマニュアルを作り上げ、管理・運用するためには膨大な時間と手間がかかってしまいます。
作成に時間と労力がかかる業務マニュアルですが、作成方法のポイントを押さえておくと効率的に作ることができます。6つのステップを紹介します。
どこまでマニュアルで定義するかの範囲を決めて、必要な情報を整理します。
具体的には、作業の手順や目的、必要なもの、判断基準、ノウハウなどが含まれます。
この段階で重要なポイントは、作成範囲を広げ過ぎないように注意が必要です。最初から手を広げ過ぎるとマニュアル作成が億劫になりやすいです。
特定の限られた範囲でマニュアル作成をしたあとに、徐々に情報をアップデートしながら作り上げていく方が現実的でしょう。
範囲を決めたら、5W1Hを意識しながら内容を整理していきます。
作業手順も整理しますが、最初から流れを時系列に並べていこうとするよりも、最重要な部分から作成していきましょう。
例えば、Webセミナーの開催マニュアルを作成しようとする場合、その準備や後片付けよりも大事なのは開催そのものです。どのように開催するかについて作業内容を整理することで自然と準備や後片付けの手順も決まっていきます。
範囲が確定し、含めたい情報を出し終えたら、その情報を目次化し、構成案を立てましょう。
目次や構成はいわばマニュアルの骨子です。骨格が体の各部を繋ぐ役割をするように、目次や構成を作成することで、さまざまな業務の関係性がシンプルになります。また、情報の漏れを避け、不要な情報を多く含めてしまうことも避けられます。
マニュアルは時系列で情報を並べるべきでしょう。さらに、各業務をどの部署の、誰が担当者なのかも明確に記入しておきましょう。そうすることで責任の所在が明らかになり、トラブルやミスを減らせます。
実際の作業を想定し、トラブルなどイレギュラーな対応も予測して記載しましょう。もちろん、すべての注意点・懸念点を詳細に洗い出すことはできないため、仮運用や実際の運用で数回使ってみることで工程がブラッシュアップされていきます。
導入後は情報の漏れや詰めが甘いように感じても、とにかく一度、決定した手順通り進めていきましょう。仮運用を行い、運用をしながら改善していくことが大切です。マニュアルを使用する人たちすべてから忌憚のないアドバイスとフィードバックを伝えてもらい、データを共有するようにします。
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実際の業務に即した「使える」業務マニュアルを作成するためには3つのポイントがあります。
業務マニュアルで重要なことは、当然ながら実際の業務に即しているかという点です。
古い情報は放置せず、作成時の内容が古くなっていないか、各箇所について定期的に検討、確認するようにしましょう。実際の業務内容を反映させて、業務フローなどが変わった場合は最新の情報に修正する必要があります。
担当者には、マニュアルさえ見ればすべてが分かる「完璧な」マニュアルを作りたいという意識があるかもしれません。しかし、マニュアルを作り込みすぎると逆に実際の業務から乖離してしまうリスクがあります。実際すべての項目を把握するのは不可能です。
また、使う側が現状に即して判断することを難しくし、マニュアル通りにしか動けない、対応できないという状態を生み出すことにもなりかねません。
作成者がその出来にどれだけ満足していたとしても、マニュアルが活用されなければ意味がありません。つまり、マニュアルは作ることではなく、読み手に理解され、現場で利用されることではじめて意味を持ちます。
マニュアルの活用を推奨するだけでなく、テクニカルライティングやデザインの面でも見やすさを重視することが大切です。そのためには、文章だけでなく、必要に応じてフローチャートなどの図や表をマニュアルの中に挿入するのも効果的です。
業務マニュアルの作成には労力と時間がかかるため、最初から範囲を広げたり、完璧なものを作ろうとしたりしないことが大事です。
まずは、喫緊の課題を解決するために役立つマニュアルを作成し、徐々にタイミングを見ながらアップデートしていくべきでしょう。
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