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企業のマーケティング活動が複雑化しつつある今日、単なる優良顧客ではない「ロイヤルカスタマー」の創出・育成が注目されています。
本記事では、ロイヤルカスタマーの定義や「優良顧客」との違い、ロイヤルカスタマーがもたらすメリット、ロイヤルカスタマーの区別・判断方法までを解説します。
ロイヤルカスタマーとは、企業やブランド、商品・サービスなどに高い愛着を持つ顧客のことを意味します。
近年では、商品やサービスなどを「所有」することから「利用」することへと変容してきています。このようなサブスクリプション型ビジネスの時代においては、新規顧客の獲得だけではなく既存顧客のサービス離脱率・解約率を抑えて中長期的な売り上げに繋げるリテンション活動が重要となり、ロイヤルカスタマーの創出・育成は事業成長のカギとして様々な企業が注力し始めています。
顧客がロイヤルカスタマー化すると、自社の商品・サービスなどをリピートして購入・利用するようになり、企業の中長期的な利益向上につながります。
また、その企業の商品・サービスに一途となり競合他社を利用しなくなるだけでなく、知人や同僚などに対してその企業の商品・サービスの紹介・推奨をしたり、SNS等でポジティブな口コミを投稿する場合もあるため、ロイヤルカスタマーが企業活動にもたらす価値は測りしえないでしょう。
すなわち、LTV(生涯顧客価値)が高く、かつ他のユーザーに自社商品・サービスを宣伝してくれるロイヤルカスタマーの存在は、企業の事業成長に欠かせない重要なキーといえます。
売上額が高い顧客や商品・サービスを頻繁に購入してくれる顧客のことは「優良顧客」といわれます。ただ、それは必ずしも「優良顧客=ロイヤルカスタマー」ではありません。
なぜかというと、積極的に商品・サービスを購入・利用してくれている顧客であっても、企業に対して良い印象を抱いているとは限らないためです。
例えば、単に「流行っているから」「キャンペーン中だったから」「他店で買うのが面倒だから」「他社に乗り換えるのは大変だから」といった理由だけで、同じ商品・サービスを継続的に購入・利用し続けている可能性も十分にあります。
そのような顧客の場合、手続きの面倒さ等をも払拭・凌駕してくれるような魅力的な料金体系やサービス内容を他社が打ち出してくれば、簡単に優良顧客ではなくなってしまうでしょう。
つまり、LTVが高いだけではロイヤルカスタマーとは断言できないわけです。
LTVだけでなく「NPS(Net Promoter Score)」という指標も併せて見ることによって、自社にとってのロイヤルカスタマーを判断・定義することができます。
「NPS(Net Promoter Score)」を日本語に訳すと「推奨者の正味比率」となります。
「顧客推奨度」と呼ばれることもありますが、簡単に言い換えると、顧客がその商品・サービスや企業ブランドに対してどの程度の愛着心や信頼度を持っているか判断する指標といえます。
具体的には、NPSの調査では、企業のブランド・製品・サービスを「友人や同僚に勧める可能性を0〜10点で評価してください」という質問に答えてもらいます。
そして、回答スコアによって顧客を以下のように分類することができます。
● 9〜10点で回答した顧客 = 「推奨者」
● 7〜8点で回答した顧客 = 「中立者」
● 6点以下で回答した顧客 = 「批判者」
NPSと聞くと、「顧客満足度調査でも事足りるのではないか」と考える方も多いかもしれません。
しかし、顧客満足度調査の場合、「満足しているわけではないが不満もとくにない」という回答者は「満足している」という項目にチェックを入れるケースが多くあります。
「満足している」と答えた顧客でも、「友人や同僚に勧められるかどうか」に対しては、厳しい評価をする傾向があります。それは「友人や同僚」に対して責任を感じさせる内容の質問になっているからでしょう。
このように、NPSでは顧客満足度(CS)調査よりも厳格な・正直な回答を得ることができるのです。
企業が膨大なコストをかけて新規顧客を獲得しなくても、ロイヤルカスタマーは自社のブランドや商品・サービスなどを宣伝してくれることで自然と新規顧客が集まるようになります。
ロイヤルカスタマーが増えていけば、自社商品・サービスの継続利用者の割合が増えることになります。これは、顧客のLTVを最大化し、企業・事業の売り上げが中長期的に担保されることを意味します。
ロイヤルカスタマーの場合、家族や知人、ときにはSNSや口コミサイトなどで自社商品・サービスの宣伝をしてくれるようなケースが多いです。
そうした紹介や口コミにより、潜在層といわれる見込み顧客の購買行動を後押ししていくことができます。
ロイヤルカスタマーの育成を行うことで、新規顧客獲得コストを削減できるようになります。
企業がビジネスを進める中でかかるコストのうち、新規顧客を獲得するコストはかなり高くなっています。
その点、ロイヤルカスタマーはある水準まで母数が増えていくとユーザーによるコミュニティができてくるようになり、ユーザーたちにより自発的にマーケティングコンテンツが用意されていきます。
Apple社のMacシリーズやiPhoneシリーズなどが良い例でしょう。テレビCMやWeb広告などにより「新製品リリース」という情報を顧客・ユーザーに認知させるだけで、ユーザーたちによる比較記事や解説動画など様々なコンテンツが企業側のコストと関係なく用意されていきます。
このように、ロイヤルカスタマーの母数が増えていくと、企業側は広報・マーケティングに係るコストを最低限に抑えながら、市場調査や新商品・サービスの開発などにリソースを充てることが可能になります。
企業にとって売上向上のキーとなるロイヤルカスタマーを創出・育成していくためには、LTVだけでなくNSPの活用が欠かせません。
まずはNPSの調査を実施します。そして、NPSを算出するためには以下のような6つのステップを踏んでいきます。
① 顧客に対して「●●(企業やブランド、商品・サービスなど)を周囲の友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか?」という質問をします。
② お勧めする可能性を0点~10点の11段階で回答してもらいます。
③ 11段階のうち、9点や10点と評価した顧客は「推奨者」と分類します。
④ 11段階のうち、7点や8点と評価した顧客は「中立者」と分類します。
⑤ 11段階のうち、0点~6点と評価した顧客は「批判者」と分類します。
⑥ 回答者全体の推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引くとNPSの指数が判明します。
同時に「なぜその点数をつけたのか」という理由も回答してもらうようにすることで、顧客満足度の改善に役立てることができます。
NPSの結果によりNPS指数が判明したら、LTVと組み合わせてマトリクスを作成します。
セグメント分類をすることで、真のロイヤルカスタマーを明確化することができます。
ヨコ軸をNPS、タテ軸を顧客収益性(=LTV)とします。
上記のセグメント分類で最重要課題としたいのは、
収益性が高いにもかかわらず、自社のブランドや商品・サービスに対する愛情と忠誠心が欠けている「離脱候補者層」「ロイヤルカスタマー候補者層」を、どのようにロイヤルカスタマーへ育成していくかという点です。
NPSで「なぜその点数をつけたのか」という答えをヒントに、それぞれの層に対して最適な施策を実行していくことが重要となります。
企業によっては、ロイヤルカスタマーの創出・育成をカスタマーサポート/カスタマーサクセス部門だけのミッションと捉えているケースもありますが、前述のようにマーケティング活動や新規顧客の獲得にも直結してくるため、あくまでも全社・全部門で意識すべきテーマといえるでしょう。
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