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公開日/2023.2.13
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インシデント管理とは?問題管理との違いやフロー、管理のポイント

インシデント管理とは?問題管理との違いやフロー、管理のポイント

業務の効率化や生産性向上を目指す企業にとって、ITサービスや情報システムの導入・運用は重要です。しかし、世の中に完璧なITシステムは存在しません。また、外部からのサイバー攻撃などセキュリティインシデントの可能性も日増しに高まっています。
ここでは、ヘルプデスクや情報システム部門の担当者が、万が一を想定してインシデント管理をするフローや、押さえておきたいポイントについて説明します。

インシデント管理とは?

まずは、「インシデント管理」の意味や概要について解説していきます。

インシデント管理の概要

インシデント(Incident)とは、問題や障害などのトラブルが発生するおそれのある状況を指します。安全管理や保安業務が求められるさまざまな場面で使われますが、ビジネスにおいてはITサービスや情報システムの運用管理において言及されることが多いといえます。

インシデント管理とは、インシデントの対応を統一して行うことです。インシデントの発生から復旧まで各フェーズを一貫して管理することが求められます。インシデント管理を行うことで、トラブルが発生したときに素早く対応できるほか、一元管理も可能になるため効率的な管理を実現しつつ、問題の拡大を抑えることにつながります。

インシデント管理と問題管理の違い

インシデント管理と似た意味の言葉に問題管理があります。「インシデント」が上述したように問題が発生するおそれのある状況を指すのに対し、「問題」とは、インシデントを引き起こす要因のことを指します。

つまり、インシデント管理では、すでに生じている状況をできるだけ早く解決することが必要ですが、問題が残されている限り、同じインシデントが再発してしまう可能性が高いといえます。そこで、問題管理によって、インシデントを引き起こしている要因そのものにアプローチし、インシデントの再発防止対策まで行うことが必要なのです。

インシデント管理の実施フロー

インシデント管理の実施フローを具体的に解説します。理想的な管理を実現するためにぜひ確認してください。

Step1.インシデント発生を検知する

最初のフローは、インシデントの発生を確認することです。検知・確認のきっかけはさまざまです。システムのアラートなどによって知らされることもあれば、ユーザーからの問い合わせによってインシデントが認識されることもあります。

この段階で大切なのは、インシデントの発生時刻や影響の範囲などの詳細をできるだけ把握することです。なぜなら、発生の検知が遅れたり、分析が不十分だったりすると、対応時にミスが起こるおそれがあるからです。スピードと状況の詳細な把握を両立させるのは簡単ではありませんが、スピード感を保ちつつ、詳細まで分析することが大切です。

Step2.インシデントへの対応策の決定と実施

次のフローは、インシデントへの対応策を決定し、実施することです。もし、検知したインシデントが過去にも発生しているなら、データベースで検索することで適切な対応が可能です。

しかし、問題は想定外のインシデントが発生したときです。ここで大事なことは、スピーディーかつ根本的な解決策を求め過ぎないことです。スピードを求めると、根本的な解決が難しくなります。両者のバランスが大切ですが、そのためにはインシデント発生の際の十分な情報収集と的確な分析が鍵になります。

Step3.インシデントの対応内容を記録する

最後のフローは、インシデントの対応内容を記録することです。対応履歴が蓄積されていくことで、インシデント管理のデータベースが構築されていきます。

情報はできるだけ詳細に記録をしておきましょう。そうすることで、将来同様のインシデントが発生した場合に、より効果的かつスムーズに対応できるはずです。また、記録した内容は関係者にナレッジとして共有することを忘れないようにします。

インシデント管理を行うメリットと注意点

業界や企業規模に関係なく、インシデント管理が必要ですが、発生したトラブルに場当たり的に対処し、以上に挙げたようなフローが構築されていない企業も多くあります。すぐにインシデント管理を始めるためには、そのメリットを理解しておくことが役立ちます。

ここでは、インシデント管理を行うメリットと注意点を説明します。

インシデント管理を行うメリット

インシデント管理を行うメリットは、サービス運用の効率化とサービス品質の向上が期待できることです。

まず、インシデント管理はどのようにサービス運用を効率化するのでしょうか。インシデントに対して場当たり的な対処で済ませるのではなく、毎回記録を残すなら、過去のトラブル発生時の対応方法などナレッジが蓄積されます。その結果、次回同じ問題が発生したときに素早く対応できます。

また、インシデント管理によって、インシデントを引き起こす問題そのものにアプローチできるようになります。その結果、問題の発生を抑える対策も行えるため、トラブルの発生が減少して、サービス品質向上にもつながります。このようにインシデント管理は、ITシステムの担当者の負担を減らすだけでなく、顧客満足にもつながるのです。

インシデント管理を行うときの注意点

インシデント管理を行うときの注意点は、どのように適切なリソースを確保するかという点です。適切なインシデント管理を行うためには、経験や技術力、ノウハウが必要であり、企業規模によっては、インシデント管理を任せられる人材を揃えることが難しい場合もあります。

そのため、少数の専門スタッフのみでの対応を迫られ、属人化のリスクが生まれがちです。結果として、ナレッジが共有されず、特定のスタッフでないとインシデントに対処できない事態が発生するのです。

これらの事態を回避するためには、適切な社内リソースを確保するほか、情報共有するための「ナレッジベース」を構築することが大切です。具体的には、複数のスタッフが対応できるように研修の実施やツールの導入などを行うとよいでしょう。

インシデント管理をスムーズに行うためのポイント

ここでは、インシデント管理をスムーズに行うためポイントについて解説します。

(1)受付窓口を統一する

窓口をまとめることで、インシデント管理の進捗を管理しやすくなります。逆に、統一されていなければ、情報がばらついてしまい、誰がどこまで対応しているかが把握しづらくなります。結果として、インシデント対応が遅れたり、対応が重複してしまったりするリスクが生まれます。

(2)対応策の決定基準を明確にする

インシデントの中には、さまざまな種類があります。危険性が高く、慎重な対応が求められるものあれば、スピーディーな解決が優先されるものもあります。ただ、決定基準の判断が担当者によって異なると、スムーズな対応が難しくなります。そうした事態を避けるためには、インシデントをカテゴリー別に分けるためのルール策定を明確にしておくことが必要です。

(3)インシデント管理ツールを活用する

管理ツールは大きく分けて、ユーザーからの問い合わせを可視化できるツールと、プロジェクトを管理するツールの2つがあります。また、初期費用の無料・有料といった料金体形(コスト)のほか、多様なツールがあるのでおおまかな種類を把握しておく必要があるでしょう。

ユーザーからの問い合わせを管理できるツールでは、インシデントの発生確認から対応状況や履歴、担当者などが可視化される管理機能が搭載さており、それぞれの共有が可能です。インシデント管理ツールを利用することで担当者の重複を避けるほか、対応漏れの防止や社内リソースの最適化による円滑なプロジェクト管理の実現につながります。その結果、ユーザーの満足度向上にもつながります。

インシデント管理でシステム運用の最適化とユーザー満足を実現しよう

インシデント管理をすることで、社内のシステム運用を最適化し、貴重な人材を最大限に活用できます。また、何よりもユーザーの満足度が向上します。インシデント管理には専門的な知識や技能が必要であるため、そこまでリソースを避けないとお悩みの方は、インシデント管理ツールの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

PKSHA FAQのHelpdesk Supportオプションは、FAQやユーザーからの問い合わせを管理するシステムで、インシデント管理のための効果的なツールです。インシデント発生の際の記録を蓄積したデータベースを活用し、知りたいFAQに迅速にたどり着くことができるため、スピーディーな対応が可能です。また、業界によって顧客や顧客体験は異なりますが、PKSHA FAQはさまざまな課題解決を目指す多様な業種の企業に対応しています。

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