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問い合わせが減らない?FAQ「0件ヒット」のせいかもしれません - CXジャーナル

作成者: CXジャーナル編集部|Sep 10, 2020 3:00:00 PM

「FAQを充実させているのに問い合わせが減らない」「FAQと同じ内容の問い合わせがくる」という課題に直面していませんか?

そうした場合、確認すべきポイントが「0件ヒット」です。Webサポート(Eサポート)の重要性がより増していく今日において、「0件ヒット」は早急に改善すべき優先課題の一つといえます。

本記事では、Webサイトのユーザビリティを評価する指標となる「0件ヒット」と、その改善方法について紹介します。

「0件ヒット」とは?

「0件ヒット」とは、“ユーザーが検索をおこなっても、該当する情報が見つからない結果となること(検索結果なし)”を意味します。
顧客・ユーザーの視点で考えた場合、Webサイト訪問で「検索結果なし」と回答されることは、店頭へ出向いて“門前払い”に合うことと同等と捉えられます。

そして残念なことに、多くのFAQサイトでは、FAQシステムの検索機能が不十分であったり、十分な機能が実装されていても現場での運用ができていない、などの背景により、「0件ヒット」が未だ発生しています。

「0件ヒット」が多いFAQサイトでは、検索しても欲しい情報に辿り着けないため、顧客・ユーザーのサイト離脱に繋がり、再訪率の低下と併せて、電話問い合わせを増加させてしまいます。
顧客・ユーザーが求める情報を必要なタイミングでスムーズに届けられるようにすることが、FAQサイト活性化のためには不可欠です。そのためにも、「0件ヒット」は早急に改善していくべき問題といえます。

「フィット&ギャップ分析」のすすめ

「0件ヒット」を減らすためには「フィット&ギャップ分析」と呼ばれる手法を用います。

「フィット&ギャップ分析」とは、情報システムの導入の際に、企業のビジネスプランやシステム化などの要求に対して検討中の情報システムの機能や性能がどれだけ適合しているか、どれだけ乖離が生じているかを分析する手法です。利用者が求める機能と提供される機能に乖離がないかを分析し、その溝を埋めていきます。
FAQサイトの検索機能であれば、日本語特有ともいえる表記揺れや類義語、略語、新語を踏まえながら、顧客が検索時に用いるキーワードと企業が普段使っている用語とのギャップをクリアしていくのです。

フィット&ギャップ分析の一例

例1)「登録会員」のことを企業では「アカウント」と呼んでいた。
→ 【検証】 「登録会員」と「アカウント」での検索件数の違いや、検索結果一覧の差異などを確認する。

例2)「スマホ」と「スマートフォン」で検索結果が異なった。
→ 【対応】 顧客は等しく情報を得られていない恐れがあるため、同様の検索結果が表示されるよう修正する。

例3)FAQの閲覧率が低い。
→ 【対応】 「検索キーワードの検索数」と「FAQ閲覧率」のギャップを確認し、顧客・ユーザーが使用する該当キーワードを調査する。

 

上記に挙げたのはあくまでも分析の一例です。

FAQが本当に利用されているのかどうか、顧客の問題解決に役立っているのかどうかを継続的にモニタリングするようにしましょう。
サイトを利用する顧客・ユーザーが多様である以上、「0件ヒット」を完全に無くすことは難しいですが、継続的に行うことで徐々に減らしていくことができます。

また、どのFAQサイトでも検索ニーズの高い検索キーワードはあるはずなので、電話問い合わせのコールリーズン等も再確認したうえで、顧客・ユーザーのニーズが高いコンテンツから優先的に分析・改善を図ると良いでしょう。

【事例】顧客28,000人の“門前払い(0件ヒット)”を73%改善

BPOに関するアウトソーシング・コンサルティングサービスやコンタクトセンター運営を行う株式会社TMJでは、クライアント企業の「0件ヒット」削減の取り組みの中で、学びの深い事例を公開しています。

<課題> 多様な検索ワードで0件ヒット率35%

キーワード検索が月間80,000件を超える規模のFAQサイトで、0件ヒット率が35%。毎月28,000人もの顧客・ユーザーをWebサイト上で“門前払い”にしている状況であった。
また、0件ヒットデータの分析をした結果、特定の関連キーワードによる傾向が存在せず、変換ミスや曖昧な検索ワードなど多種多様な検索データばかりであった。

<取り組み> ペルソナごとの導線設計

FAQサイト利用者のペルソナを複数作成して、各ペルソナに適した導線を設計した。
具体的には、情報リテラシーの高くない顧客・ユーザー向けに、平易な表現やイラストを導線に使用したうえで問診型の分岐シナリオを設置し、キーワード検索をせずとも必要なFAQへ辿り着けるようにした。

また一方で、リテラシーの高い層向けには、「高度な使い方をする場合に問題が発生しやすいポイント」をまとめた導線を予め用意することで、煩わしい検索をさせるまでもなく最短距離で適切なFAQへ辿り着けるようにした。

<結果> 0件ヒット数の約73%改善に成功

■ キーワード検索回数が月間80,000件から30,000件へ減少
■ 0件ヒットになってしまう顧客・ユーザーの数が月間28,000人から7,500人へ減少

 

▼TMJ社の事例記事はコチラ
「FAQを「検索させない」導線設計でアクセス性を大幅改善した事例」

TMJ社の本事例で学びが深い点として、「検索しやすさ」を高めることではなく、「検索させない/検索しなくてもよい」という仕組みを作ったことにあります。FAQシステムの検索機能ももちろん重要ですが、サイトを運営するうえでの“ユーザー視点の重要性”を再認識できる事例です。

FAQサイトの利用状況を再確認しよう

検索性を高める改善」「ユーザーごとの導線を最適化する改善」と、0件ヒットの課題に対して大きく2種類の改善方法をご紹介しました。
これらはいずれも重要であり、利用しているFAQシステムの機能面と、運用現場での体制面がボトルネックとなります。後者がネックとなっている場合には、TMJ社のようなコンサルティングサービス提供会社へ相談してみるのも良いでしょう。

いずれにしても、まずは自社FAQサイトの状況を再確認してみることをお勧めします。

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