近年、カスタマーサティスファクション(顧客満足、CS:Customer Satisfaction)をさらに上回る概念として、カスタマーディライト(CD:Customer Delight)が注目され始めています。顧客の期待に応えるカスタマーサティスファクション(顧客満足)がさまざまな企業に浸透するなかで、さらにその先の顧客の期待を超え、驚きや感動を与えるカスタマーディライトという考え方が取り入れられ始めています。
本記事では、カスタマーディライトとは何か、カスタマーサティスファクション(顧客満足)との違いや高める方法、注意点について解説します。
企業が安定した事業収益を上げるためには、顧客が商品やサービスを利用することで期待した成果を手に入れることが大切です。この考え方をカスタマーサティスファクション(顧客満足)といい、多くの企業で取り入れられています。さらにその先を行くカスタマーディライト(CD:Customer Delight)の概要について解説します。
カスタマーディライトとは日本語で「顧客感動」という意味です。英語のCustomer Delightの頭文字を取って「CD」と表示されることもあります。カスタマーディライトは、顧客が自社の商品やサービスを利用した際に、「ここまでしてくれるのか」「こんなこともできるのか」と予想を上回る感動をすることを示します。
カスタマーサティスファクションとは、顧客の期待する不満・不便の解消を、適切に満たす概念です。その指標としての顧客満足度は、自社の商品やサービスを利用した顧客がどのくらい満足しているかを表した指標として多くの企業で取り入れられています。
顧客満足度(CS)については、以下の記事で詳しく解説しています。
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一方、カスタマーディライトは顧客を満足させることを前提に、予想を上回る感動までさせることを目指しており、カスタマーサティスファクション(顧客満足)の一歩先の指標となります。
現代マーケティング大家のフィリップ・コトラー氏は、顧客の期待とパフォーマンスの関係を以下のように分類しています。
期待>パフォーマンス …不満
期待=パフォーマンス …満足
期待<パフォーマンス …感動
顧客の期待通りのパフォーマンスを提供するのが当たり前となってきている中で、顧客の期待したレベルを上回るパフォーマンスを提供することで、顧客に感動を与えるのがカスタマーディライトの考え方なのです。
ではなぜ、カスタマーサティスファクションのみならず、その一歩先のカスタマーディライトが注目されるようになってきたのでしょうか。
近年ではカスタマーサティスファクションの取り組みが浸透したこともあり、商品やサービスにより顧客を満足させることは当たり前になってきています。そのような環境下で競合と差別化するためには、期待通りの商品・サービスを提供するだけでなく、顧客に想像以上の感動を体験してもらうためのカスタマーディライトの施策が重要となるのです。
カスタマーディライトは、企業に良い循環をもたらすことが期待されます。顧客が期待以上のサービスを受けて感動することで、企業や製品への愛着が高まります。顧客ロイヤルティやブランドロイヤルティが向上することで、顧客はリピーターとなり、継続率の増加につながるからです。
さらに、顧客ロイヤルティの高いロイヤルカスタマーが増えることで、高評価の口コミや評判の獲得を期待できます。これらは、新規顧客の獲得にも寄与することでしょう。
顧客ロイヤルティについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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ここまでカスタマーディライトが何かを見てきましたが、実際にカスタマーディライトはどのように実現し、高めていけばよいのでしょうか。ここではカスタマーディライトを高める方法を5つ紹介していきます。
カスタマーディライトを実現するためには、まずは顧客が企業や製品に何をどの程度期待しているかを的確に把握しておくことが必要です。顧客満足度アンケートなどを実施し、定量的・定性的にその期待値を確認しておきましょう。期待値を把握することで、顧客を思いやり、感動させるための行動を意識的に行えるようになるでしょう。
カスタマーディライトを実現するためには、従業員に一定の裁量権を与えることも重要です。顧客に感動を生むためには、顧客それぞれに合った臨機応変の対応が必要となります。これを実現するには、従業員が自己裁量によってサービスを提供できる環境に整えておくことが必要です。
顧客対応にある程度の裁量権がないと、マニュアル通りの対応しか実現することができず、顧客の期待を超えることも難しくなります。
画一的なサービスのみでは、顧客の期待に応えることはできるかもしれませんが、期待を超えることは難しいでしょう。すべての顧客への画一的なサービスのみならず、それぞれの顧客に応じたサービスを提供することが大切です。実現するには、顧客ひとりひとりの嗜好を把握し、それぞれに対して最適なコミュニケーションを行う「One to Oneマーケティング」が不可欠です。
顧客の属性やこれまでの購入履歴などを蓄積し、顧客の嗜好性を把握できるような仕組みを持つことから始めてみましょう。
コールセンターやSNS、レビューサイトなどから得た顧客の声や情報は社内で蓄積し、共有します。これによって、企業のあらゆる顧客接点で、顧客に対し十分な対応ができるからです。また、顧客の期待やニーズに対応して、どのような対応を行い、喜ばれたのかを蓄積することも重要です。顧客に喜ばれるサービスの新たなアイデアにもつながります。
カスタマーディライトを実現するためには、商品やサービス自体の品質に加え、購入後のアフターフォローや問い合わせ対応の品質向上も重要なポイントです。
仮に商品やサービスにトラブルがあった場合でも、その後の素晴らしいアフターフォローによって、顧客のブランドイメージを高められる可能性があります。
カスタマーディライトを高める方法を実施していく中で、どのようなポイントを重視すればよいのか解説します。
カスタマーディライトを高める取り組みは、一過性のものではなく、継続的に行うことで顧客ロイヤルティの向上につながります。初期の取り組みだけで形骸化しないように社内で定期的な見直しや研修を行うことで、従業員にカスタマーディライトについて周知させることがポイントです。
カスタマーディライトを高めるためには、その活動内容や成果を顧客ごとに蓄積・共有することが大切です。それには、CRMツールを導入し、活用することが有用です。顧客ごとに属性情報や嗜好、いつどこでどのような対応をとり、それに対してどのようなフィードバックをもらったのかを記録し、さまざまな形でデータを分析・抽出できるからです。
自社の目的に合ったCRMツールを選定し、導入・活用しましょう。
本記事では、カスタマーサティスファクション(顧客満足)を超える概念として、顧客に感動を与えるカスタマーディライトを紹介しました。顧客の期待に応えることが当たり前になっている昨今、激しい競争環境では顧客の期待を超えるパフォーマンスを提供することが重要です。
ただ闇雲に高い品質を提供するだけでなく、顧客の期待やニーズを的確に捉えて、それに応えることが必要です。顧客接点で、従業員が柔軟な対応がとれるよう裁量権を与えるなど、企業としての整備も必要です。
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