ユーザーの質問や指示に応じて、的確な答えを生成できる「ChatGPT」は世界でも爆発的に利用者数を増やしています。メールアドレスやGoogleアカウント、Microsoftアカウントで登録・ログインするだけで、その機能を無料で使うことができるため、すでに使用したことがある人も多いのではないでしょうか。
ただし、ChatGPTは回答の正確性が保証されているとは限らないため、リスクもあります。今回は、ChatGPTで「できること」と「できないこと」を詳しく紹介し、上手に活用できるコツを解説します。
わずか1週間で100万ユーザー、リリース2ヶ月後の2023年には1億ユーザーを突破したChatGPTですが、「使えない」という声もときどき耳にします。
なぜ「ChatGPTは使えない」と言われてしまうのか、以下で理由をご紹介します。
「ChatGPTは使えない」と言われてしまう理由として、誤った情報が出力される点が挙げられます。ChatGPTは大量のテキストデータを基に学習されていますが、そのデータに誤りが含まれる場合があります。内容によっては、正確で信頼性の高い情報を提供しますが、完全に誤りのない情報であるとは限りません。
誤った情報の出力を減らすことも可能ですが、特に最新の情報に関しては正確だとは限りません。ChatGPTにも「できること」と「できないこと(苦手な処理)」が存在します。利用したユーザーが後者の処理を行った結果、「使えない」と感じることもあるでしょう。
また、「そもそもChatGPTが利用できない」という場合もあります。例えば、ブラウザの設定で自動翻訳が適用されてバグが発生するケースです。英語を日本語に自動翻訳していることが不具合の原因になり得ます。
他にエラーが表示されたり、回答が出力されなかったりする不具合が起きた場合は、ページを更新して再読み込みをすると、解決することがあるので試してみると良いでしょう。
ChatGPTには、要約や翻訳のような「できること」と、画像認識や画像生成のような「できないこと」があります。それぞれ具体例を挙げてご紹介します。
ChatGPTは、テキストボックスに入力可能な文章や言語であれば、返答できることが特徴です。
まず、一般的な質問に対する回答ができます。「○○とは?」や「○○の方法は?」、「○○の作り方は?」など、日常で疑問に思ったことや調べたいことの質問に対して、当たり障りのない回答が可能です。
質問の際には、関連する複数のキーワードを使用すると回答の精度が上がります。例えば、「夏のレシピ」という単語だけでなく、「暑い日に食べたいメニュー」、「夏のフルーツを使ったレシピ」といったように、より具体的なキーワードを使用しましょう。
また、文章の要約や翻訳などの業務にも対応できます。ChatGPTは長い文章を要約したり、重要な情報だけをリスト化してまとめたりすることが可能です。例えば、「下記の文章を100文字で要約してください」と入力すると、文章の重要な部分をピックアップし10秒程度で要約文が出力されます。
与えられた文章を別の言語に翻訳することができるため、要約と翻訳機能を一緒に使うことで仕事を自動化でき、業務効率化につながるでしょう。また「犬との生活をテーマにした小説を作って」など、自分でキーワードを指定して文章作成を依頼することも可能です。
文章生成や回答以外に、エンジニアの開発現場でも活用できます。ChatGPTでは、プログラムを生成したり、プログラムのミスやバグを発見したりすることも可能です。
プログラミング言語は機械学習との相性が良いといわれており、システム開発現場での活用が期待できます。
さらにAPI連携によって、開発者や企業はChatGPTを利用したサービスやツールを作りやすくなるため、新たなサービスや革新的なシステムの登場が期待できるでしょう。
ChatGPTは、現在の技術では常に正確で完全な回答を提供できるわけではありません。
特に、ChatGPTが苦手としているのは「パーソナライズされた質問」や「トレンド性のある質問」への回答です。
その理由は、ChatGPTの学習データの古さにあります。ChatGPTは2022年初頭に学習が完了したモデルのため、その時点までに公開された情報の知識しか取り扱うことができません(2023年4月現在)。
その他、医学用語や法律用語など専門用語への対応や知識も不足しているとされており、翻訳の際に誤った文章が出力される可能性もあります。人物名や物などの固有名詞に関する回答も正確でないことが多く、ファクトチェックが必須です。
ChatGPTはテキストによる対話が特長であるため、画像生成や画像認識のような視覚的なタスク、URLの読み込み、正確なURLの自動生成も苦手なタスクとされています。
ChatGPTとは?始め方や使い方、対話型AIを使用する際の注意点
現在のChatGPTには苦手な処理がある以上、使う側が上手に利用し判断する必要があります。以下で、より回答の精度を高め、誤情報を見極めるためにすべきChatGPT活用のコツをご紹介します。
まずは、質問内容を具体的かつ明確にすることがポイントです。ChatGPTは自然言語処理技術を使用していますが、曖昧な質問の場合、AIが質問の意図を誤って認識することがあります。「主語を抜かない」、「例を挙げる」、「5W1Hを意識する」など具体的な質問を心がけると、より適切な回答が得られる可能性が高まるでしょう。
質問の際に、前提条件や必要な情報をあらかじめ読み込ませることで、回答の精度を高めることが可能です。ChatGPTは事前学習されたモデルを使用していますが、特定の分野における情報不足がある場合が考えられます。
例えば、「○○の専門家の立場から〜を説明してください」や「以下の条件に従って回答してください」などと記載することで回答にバリエーションを持たせることができるでしょう。
ChatGPTは誤った情報を正しい情報のように回答することがあります。そのため、回答を使用する際は、100%信用せずに「間違っている」という前提で実際のデータをチェックすることが不可欠です。
特に不正確な回答が多い、人物名などの固有名詞や専門用語については、検索や辞書によるファクトチェックを徹底しましょう。
ChatGPTが間違った情報を回答したときは、間違っていることをフィードバックすることも大事です。フィードバックを提供することで、何度か繰り返すと正しい回答に修正され、システムの性能を改善することができます。
誤った情報が出力された場合、正しい情報を提供することで、ChatGPTが正しい回答を生成するための訓練データを提供することができるでしょう。
OpenAIが開発したChatGPTを筆頭に、自然な回答を自動生成できる対話型AIは今後も活用の幅を広げることが予想されます。ChatGPTを搭載したBingが登場し、Googleも対抗サービスとなるBardを発表するなど、今後は検索エンジンが大きく変化する可能性もあるでしょう。
ただし、現在のChatGPTは常に正確で完全な回答を提供できるわけではありません。今私たちユーザーに求められていることは、システムの仕組みを理解し有効に活用することです。近い将来、検索や広告、IT業界などあらゆるビジネス環境はChatGPTにより大きな影響を受け、その応用範囲は拡大することが予測されます。実際に利用したり情報収集を行ったりして、変化を見逃さないようにしましょう。