UI(ユーザー・インターフェース)とは、ある製品やサービスのビジュアル・利便性などを示す言葉です。Webサイトやアプリで使われることが多い言葉ですが、チャットボット(Chatbot)の品質向上にも欠かせません。
一方、チャットボットのUI改善の手順やポイントといったノウハウの習得機会は多くないため、どこから手を付けていいのかわからない人も多いのではないでしょうか。本記事では、チャットボットにUI改善が重要な理由、UI改善の手順、ポイントについて解説します。顧客満足度や自社サイトの利用率向上などを図りたい方は、ぜひご確認ください。
まずはチャットボットにUI改善が重要な理由を説明します。大きなメリットとしては以下の2つが挙げられます。
チャットボットとは、AIを活用した対話プログラムのことで、問い合わせ対応などの業務を自動化します。企業がチャットボットを導入すれば、従業員の負担軽減や人手不足を解消する手段となる可能性があります。
一方、UIに問題のあるチャットボットは利用率の低下を招くリスクがあるでしょう。ユーザーがチャットボットの使い方を理解できず、使いづらいと感じてしまうためです。ユーザーがUIの悪いチャットボットを利用した場合、質問に対して的確な回答が返ってこないことがあるのです。
反対に、優れたUIのチャットボットはユーザーにとって使いやすく、利用率の向上が期待できます。データ収集や効果測定を繰り返してチャットボットのUIを改善していけば、利用率の向上につながるでしょう。
チャットボットの利用率については、以下の記事で詳しく解説しています。
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ストレスを感じさせないUIのチャットボットは顧客満足度の向上が期待できます。ユーザーの期待値に見合った価値を提供しやすくなるためです。ユーザーとしては、24時間体制でスムーズに問題解決できるので、気軽にほしい情報を手に入れることができるでしょう。
また、使いやすいUIは企業側のメリットも大きく、応対品質の向上や企業の信頼性の向上にもつながります。利便性の高いチャットボットならば、ユーザーの疑問や不安を待ち時間なしに回答することが可能になるので、ブランドイメージの向上が期待できるのです。さらに機会損失の軽減、webサイトからの離脱率の軽減にもつながるでしょう。
その他、電話やメールでの問い合わせが減ることで、スタッフの業務負担の軽減や離職率の低下などの、副次的な効果がある可能性もあります。
次にチャットボットのUI改善を行う4ステップを紹介します。
自社のチャットボットが抱えている課題を洗い出しましょう。UIによって解決できるもの、できないもののどちらも含めて、多く洗い出すことが大切です。直接解決できないものでも、他の要素で補助的に解決につながる可能性があるからです。課題の例としては、以下が挙げられます。
・トンマナ(Botの言葉遣い)がターゲットの属性に即していない
・会話の流れが不自然で、サイトからの離脱率が高い部分がある
・ユーザーが閲覧する媒体(例:スマホ)と、画面の幅が合わず見づらい
なお、課題の洗い出しには、ユーザーからのお問い合わせ内容やアンケートなどを参考にすると良いでしょう。チャットボットの担当者やオペレーターなどの現場の声を参考にすることも大切です。
先述のようなチャットボットの課題を、UIの改善によって解決できるかを検討しましょう。チャットボットのUI設計で考えるべき要素としては、以下が挙げられます。
・チャットボットの設置ページやデザインを工夫し、ユーザーの目に付くようにする
・ユーザーの興味をひくようなキャラクターを設置する
・操作性の高いチャットボットサービスを選択する
適切なUI設計を意識することで、使いやすいチャットボットに改善しましょう。
チャットボットの課題がUIの改善で解決できるものならば、デザインに落とし込んでいきます。その際は、見た目のデザインだけでなく、「会話デザイン」も見直してみてください。会話デザインとは、ユーザーの質問に対してどのような回答をするのか、設定する作業のことです。
適切な会話デザインでユーザーの疑問を正確に把握し、的確な回答ができるようにデザインしましょう。その上で、webサイト内の回遊率を高める施策を検討するなどのアプローチも加えていきます。
チャットボットを実装したら、検証作業によって課題を発見することが大切です。よくある課題として、質問に対する回答精度が低くユーザーから離脱されてしまうケースや、チャットボットの存在が知られていないことがあります。実装したままの状態だと、これらの課題が解決されないので、チャットボットが成果につながることはないでしょう。
解決策としては、有人対応と連携することによって回答精度を上げたり、チャットボットのメンテナンス担当者を配置したりするなどの工夫が必要です。
最後にチャットボットのUIを改善するための6つのポイントを紹介します。
チャットボットのUIで大切なポイントは使いやすさです。ストレスを感じない操作性や使い心地の良さなどを実現し、ユーザーが行う操作を少なくするよう努めましょう。例えば、記入式よりも選択式を採用することや、記入例が提示されているなどの工夫は大切です。ユーザーの負担を減らし、顧客満足度の向上につなげましょう。
ユーザーが迷うであろう箇所には、デザインだけでなく文章でサポートします。次のアクションを提示する、マイクロコピーを記載するなど、ユーザーが操作に迷わないようなUI設計にしましょう。
マイクロコピーとは、会員登録などの成約ボタンのそばに記載してある短い文章です。「1分で登録完了できます」などの文言を記載します。重要なのは、ユーザーは何ができるのか、何をすれば良いのかを明確にすることです。
チャットボットを利用するユーザー層によって、使いやすさの基準は異なります。ユーザーに合わせて、文字のサイズや色合いを調整するようにしてください。また、ユーザーデータを分析してデザインに反映させるなどして、継続的にUXの要素の改善するのもおすすめです。なお、UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがサービスを通して得る体験のことです。
PC、スマホ、タブレットなど複数の媒体に対応させるようにしましょう。ターゲットのユーザーが閲覧する媒体を把握して、それぞれの媒体で適切な画面幅に調整することが大切です。チャットボットがスマホ画面いっぱいに表示されるようなことがないよう、注意してください。
ABテストとは、複数のパターンのテストを実施し、どちらが効果的かを比較するマーケティング手法です。チャットボットの機能を最適化するため、仮説と検証を繰り返しましょう。注意点としては、一度にさまざまな要素を比べすぎないことです。分析の難易度が高くなってしまうので、扱うデータは必要なものだけに絞りましょう。
チャットボットの効果を引き出すには、導入後のメンテナンスが重要です。PDCAサイクルを回し続けて、質問に対する回答の精度が高まるように気をつけましょう。導入したまま放置しておくと、回答の精度は低いままですし、利用率が下がるおそれもあります。ユーザーのクレームにつながるので、定期的な分析とメンテナンスは必須です。
チャットボットのUIを改善することは、ユーザーと企業の双方にメリットがあります。ユーザーは企業のサービスや商品に対する疑問を簡単に解消できますし、企業は問い合わせ対応の手間を削減して業務効率化につなげることができます。
ただし、チャットボットの効果を最大限にするには、定期的な分析やメンテナンスが欠かせません。本記事で取り扱った手順やポイントに留意しつつ、自社のチャットボット運用の参考にしてみてください。