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チャットボットの運用における主な課題|具体的な解決方法は? - CXジャーナル

作成者: CXジャーナル編集部|Apr 7, 2023 4:30:00 AM

人工知能チャットボット「Chat GPT」の影響もあり、多種多様なチャットボットに改めて多くの企業が注目しています。コスト削減や生産性向上、顧客満足につながる施策として、自社用の社内、もしくは顧客向けのチャットボットの導入を検討している担当者の方も多いでしょう。ただ、実際に導入して、運用するとなると不安を感じるのも事実です。ここでは、チャットボットの運用が重要な理由、運用時によくある課題とそれに対する解決策について解説します。

チャットボットの運用が重要な理由

チャットボットの運用するメリットであり、導入理由は「顧客対応業務の効率化」が期待できるからです。従来の顧客対応の仕組みを継続する場合、顧客からの問い合わせには実際にスタッフが対応するか、顧客自らFAQページから回答を探すことになります。

FAQページを利用する場合は、ユーザーが自ら自分が必要としている質問の答えを探し出す手間がかかってしまいます。そのため、回答が見つからない場合は、ユーザーは答えを探すのをあきらめるか、問い合わせ窓口に電話をかける可能性が考えられます。いずれにしてもユーザーは自分が知りたい質問に対する答えをすぐに得られないため、カスタマーエクスペリエンス(CX=顧客体験)の低下につながるリスクもあります。

CX向上のためには、オペレーターがマンツーマンでユーザーの質問に向き合うのが適切なのかもしれませんが、今度はコストの問題にぶつかります。チャットボットはコストを抑えながら、なおかつCX向上にもつながるソリューションといえます。ボットでありながら、マンツーマンで顧客に対応できるからです。

また、チャットボットを運用すべき別の理由としては、データを収集し、蓄積することでさらに効率的な顧客対応が可能になる点が挙げられます。チャットボットを運用し、「よくある問い合わせ」はFAQにまとめておけば、顧客を自己解決に促すことが可能になります。そのようにしてスピーディに顧客が抱える課題を解決することで、顧客満足度の向上につながる可能性もあります。

チャットボットの導入事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
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チャットボットの運用時によくある課題

チャットボットの運用の重要性を理解していても、いざ導入するとなるとさまざまな不安に悩む方も少なくないでしょう。ここでは、チャットボットの運用時によくある4つの課題について取り上げます。

(1)導入による成果が出ているかわかりづらい

チャットボットの運用時によくある課題の1つ目は、導入したことで成果が出ているかわかりづらいという点です。例えば、電話問い合わせの削減を目的にチャットボットを導入したものの、適切な効果測定やKPIが定められていないと成果の確認がしづらく、改善につながらない場合があります。そのため、チャットボットを導入する際は、成果指標を明確に設定して運用をしましょう。

(2)チャットボットが利用されない

チャットボットの運用時によくある課題の2つ目は、チャットボットが利用されないことです。せっかく導入したチャットボットですが、顧客に利用してもらえず、導入が失敗に終わるケースがあります。顧客に利用されない例として、チャットボットの存在に気が付いてもらえなかったり、使い方を分かってもらえなかったりするケースが考えられます。

(3)チャットボットの離脱率が高い

チャットボットの運用時によくある課題の3つ目は、チャットボットの離脱率が高いことです。「離脱」とは、チャットボットの用意した回答にたどり着く前に、利用が中断されてしまうことを指します。チャットボットの利用率がある程度高くても、離脱率が高いと結局、顧客満足度の向上にはつながりません。チャットボットが中断される例として、欲しい情報にたどり着けなかった、回答内容を理解できなかったなどのケースが考えられます。

(4)メンテナンス作業が進まない

チャットボットの運用時によくある課題の4つ目は、メンテナンス作業が進まない点です。チャットボットの回答制度を高めるためには、運用中の定期的なメンテナンスが重要です。しかし、さまざまな理由でメンテナンス作業が滞ってしまうケースが多くあります。メンテナンス作業が滞る理由には、導入時の運用体制の設定が不十分、効果検証を行うためのリソース不足やメンテナンス方法が分からないといった点が考えられます。

チャットボットの運用時の課題に対する解決策

チャットボット運用時の課題に対する5つの具体的な解決策を紹介します。

(1)導入前後の状態を数値化する

1つ目の解決策は、導入前後の状態を数値化することです。導入前と後でどの程度数字を改善されたかを「見える化」することで、効果測定が可能です。効果検証する指標はさまざまですが、毎日の問い合わせ件数、解決率、対応スタッフの残業時間などを選ぶと良いでしょう。これにより、効果が出ているのにもかかわらず、何となく運用を停止するといった事態を回避できます。

(2)チャットボットの存在を認知してもらう

2つ目の解決策は、チャットボットの存在をユーザーに認知してもらうことです。そのための施策には、チャットボットへの導線設計、バナーやテキストリンクなどでチャットボットへ誘導する、チャットボットを適切なページに配置するなどがあります。

(3)チャットボットの回答精度を上げる

3つ目の解決策は、チャットボットの回答精度を上げることです。いくらチャットボットの存在を知ってもらっても、ユーザーが実際にチャットボットを使ってみて、求めている回答がすぐに得られないと感じてしまうと離脱してしまいますし、次回問題に直面したときも、チャットボットを使うことはないでしょう。結局、オペレーターに直接電話する選択をしてしまいます。

回答精度を上げるために、可視化した登録データを見直し、精度の高い回答を出せるように調整を行いましょう。シナリオ型のチャットボットの場合、シナリオ設計の見直しも欠かせません。定期的にメンテナンスを行い、回答の質と量を見直すことが大切です。さらに、チャットボットが回答できない質問も想定して、オペレーターにつなげる仕組みを作っていくと安心です。

(4)離脱率が高い箇所を突き止める

4つ目の解決策は、離脱率が高い箇所を突き止めることです。データを分析して、離脱箇所を洗い出すことで、顧客が何故離脱するのかを判断しやすくなります。例えば、分析の結果、専門的な用語が使われている場所での離脱が多いことが分かったとします。分析するだけでなく、具体的な解決が必要ですが、文章だけでなく図やイラストを取り入れるなどの対策を講じられます。

(5)複数人の運用体制にする

5つ目の解決策は、複数人でチャットボットを運用することです。担当は複数人のチームとし、知識やノウハウが一人に集中しないようにしましょう。そうすることで、チャットボットの管理が行き届きやすくなります。チャットボットに限らず、企業内のナレッジやスキルが属人化してしまうと、生産性が低下し、コミュニケーションがスムーズに進まなくなるおそれがあります。知識やノウハウを共有するための仕組みづくりが重要なポイントです。

正しいチャットボットの運用で生産率アップ目指しましょう

チャットボットの導入は、社内向けには主にコストの削減や業務効率の改善などが期待されています。また、顧客向けには接客や問い合わせ対応へ活用することで顧客の満足度の向上につながります。人口動態の変化による人手不足の課題を解決する1つの手段としてチャットボットの導入・運用の必要性は今後高まることでしょう。チャットボットはさまざまな種類のツールがあるので、費用対効果を最大化しつつ活用するためには、想定される課題について早めに洗い出して解決策を準備し、導入目的を明らかすることが必要です。

一方、チャットボットを導入するためには初期費用や月額費用などのコストも発生するほか、運用担当者の手間や負担増といった注意点もあります。運用開始後からスムーズかつ効果的に活用できるよう、専門家の支援も検討しながら計画を行いましょう。