顧客がコールセンターへ問い合わせるには、必ず理由があります。
顧客がお問い合わせをする理由をコールリーズンといいます。コールリーズンを分析することで従業員の通話時間の短縮や、応対スキルの向上による業務改善、またチャットボットやIVRの設置による業務効率の向上に役立ちます。
コールリーズンは顧客のニーズそのものである可能性が高いため、より良い自社製品やサービスを生み出すマーケティングにも反映できるでしょう。
本記事では、コールリーズンの重要性や分析方法について紹介していきます。
コールリーズンとは、コンタクトリーズンとも呼ばれ、顧客がコールセンターに電話をかける理由を指します。
とくに多いコールリーズンの例としては、以下が挙げられるでしょう。
・商品の使い方が分からない
・サービスの解約方法を教えてほしい
・注文内容を変更したい
・サービスプランを変更したい
顧客の入電理由をカテゴリーごとに分類し、内容を分析することを指します。
問い合わせ件数や内容の傾向を掴むことで、オペレーター向けのマニュアルを最適化していきやすくなります。
また、顧客のニーズを把握することにも繋がるため、発音の仕方やオペレーターの知識の蓄積など、コールセンターにおける応対品質の向上にも役立ちます。
顧客からコンタクトセンターへお問い合わせがあった際、単に顧客の言葉の内容を聞いて回答をするだけでは不十分です。コールリーズンを深掘りすることで、顧客の真のニーズや自社で解決すべき課題が見えてきます。
顧客へ自己解決を促すことで、コールセンターの負担軽減に繋がります。
例えば、マイページを閲覧するにはどうすればいいか、製品の使い方がわからないなど、顧客が自己解決できる可能性のあるコールリーズンがあるとします。
その場合はFAQサイトを充実させる、チャットボットを設置して内容を反映させるなどを行います。すると有人対応をしなくても、顧客自身がFAQを参照するまたはチャットボットに対応してもらうことで解決できます。
自己解決に繋がりやすいコールリーズンは、一問一答で済む問題や、対応策を読んでもらえば解決する場合などがほとんどです。
例としては、解約方法を知りたい、商品やサービスに対する質問などがあります。顧客むけのコンタクトセンターにIVR(自動音声応対システム)を導入している場合は、IVRの内容の改善にも役に立つでしょう。
VOCとは、コンタクトセンターに寄せられた顧客の声や意見を指します。コールリーズンを探るには、VOC分析が不可欠です。
自社製品やサービスのほかにも、コンタクトセンターに対する声が挙がることもあります。例えば電話に出るまでの時間が長い、他の連絡先へたらい回しにされるなど、電話の応答に対するVOCの場合は、応対品質向上への手がかりとなるでしょう。
コールリーズンのなかには、サイトへのログイン方法がわからない、とある部署の連絡先がわからない、などある程度決まった内容もあります。同様のコールリーズンが多い場合、優先的に改善すべき課題といえます。
すべての問い合わせに対し、迅速に対応できることがベストですが、現実的にはなかなか難しいでしょう。そこで優先順位をつけることで、できるだけ多くの顧客をお待たせしない、またはストレス感を与えないなどの対策が施せます。
コンタクトセンターにおける電話対応の平均処理時間をAHTといいます。
コールリーズンの内容ごとにAHTを記録しましょう。すると異常なAHTを発見した場合、その原因と対応策を導き出せます。
あらかじめ対応策を練っておけば、同様のお問い合わせがあった際に処理時間が短くなるうえ、どうしても解決しない場合は専門部署の従業員がサポートに入るなど、対応フローを見直せます。
コールリーズンにおけるコンタクトセンターへの意見や声は、オペレーター同士の連携体制やスキル向上に役立ちます。
例えば、他の部署へよくたらい回しにされるという意見があれば、オペレーターが適切な部署へ電話をつなげられるよう体制を整える。オペレーターが早口で言っている言葉が聞き取れないという意見があれば、できるだけゆっくり威圧的にならないように心掛ける、などの対策が行えます。
また、それらの改善策は、電話代行サービスを利用する際に、派遣された従業員へのマニュアルやオペレーターの教育・研修に分析内容を活用できます。
コールリーズンを分析するには、パレート図を利用します。
パレート図とは、数値が高いものから順に棒グラフで表し、それらの累積比率を折れ線グラフで表したものです。取り組むべき課題の優先順位を把握する際などによく利用され、コールリーズンをパレート図で見える化することで、対応すべき課題の優先順位が分かります。
分析に着手する前に、コールリーズンを収集する必要があります。主な収集方法にはCMSとCRMシステムがあります。
CMSとは、コンテンツ管理システムといい、コールセンターにおいては応対時間や架電している人数、顧客対応の履歴などが管理できます。
CMSの機能の一つにCWCがあり、特に入電数が多いコールリーズンをCWC機能にあらかじめ入力します。すると、通話中や通話後に電話機のCWCボタンを押すことで、コールリーズンごとに繋いだオペレーターや応答時間、後処理時間などが記録できます。
オペレーターが電話機のボタンを押すだけなので操作は簡単ですが、押し忘れると記録ができないため注意が必要です。
顧客関係管理システムのことで、顧客の氏名や住所などの個人情報や、顧客がコンタクトセンターへ問い合わせた履歴や内容が管理できます。
CRMでコールリーズンを収集すれば、分析に利用できます。
パレート図とは、発生している問題の中で多くの割合を占めているものを特定するための分析方法です。
棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた図で表し、イタリアの経済学者ヴィルフリート・パレートが提唱したパレートの法則が語源です。
パレート図を利用してあらかじめ収集したコールリーズンを分析するには、以下の手順で行います。
収集したコールリーズンを分類して、件数を集計します。
例: 解約方法(34件)、資料請求(139件)
さらに集計したコールリーズンを件数が多い順に並び替えて整理します。
最終的に100%になるようコールリーズンの多い順から割合を足し、各コールリーズンの累計比率を出します。
例えば、最も多いコールリーズンである資料請求が40%として、2番目に多いコールリーズンが30%だとすると、足して70%にします。このように割合を足していき、最終的には100%になるようにします。
Step1とStep2の結果をもとに表計算ソフトなどでグラフを作成します。
すると棒グラフは右肩下がりに、累計比率の折れ線グラフは右肩上がりになるでしょう。
出来上がったパレート図を分析に活用します。
例えば、最も多いコールリーズンから3番目に多いコールリーズンまでがほとんどの割合を占めていることが分かったとします。すると、これら3つのコールリーズンこそが、優先的に対策しなければならない内容であることがわかります。
コールリーズンの主な活用方法は、顧客の悩みや不満を解消し顧客満足度の向上に役立てること、チャットボットやIVRなどのセルフサービスで顧客の悩みを解決に導き、電話対応を行う従業員の負担を軽減することです。
さらに、適切な部署へ迅速に電話が回せるようフローを見直せば、業務の効率化が図れ、顧客が何度も電話をかけ直すこともありません。コールリーズンを積極的に分析し、業務改善や顧客満足度の向上に役立てましょう。
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