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コールセンターの稼働率とは?適正値や占有率との違い、計算方法 - CXジャーナル

作成者: CXジャーナル編集部|Nov 16, 2022 3:00:00 PM

コールセンターの業務効率化を実現するためには、稼働率という指標を適切に管理する必要があります。指標の意味を正確に理解し活用することで、人員管理や生産性の向上に繋がるでしょう。

本記事では、コールセンターの稼働率の意味や算出方法、稼働率を適正に維持するためのポイントについて解説します。

コールセンターの稼働率とは?

コールセンターの稼働率の意味や占有率との違いを説明します。稼働率の平均・適正値についても紹介するので、コールセンター運営の健全化に活用してください。

(1) 稼働率の意味

稼働率とは、コールセンターのオペレーターが、労働時間中(給与支払い時間)に顧客対応時間(稼働時間)に費やした時間の割合です。
顧客対応時間とは、以下のような顧客応対に関連する業務に費やす時間のことを指します。

・通話時間
・メールやチャットの応対時間
・保留時間
・後処理時間(通話後の事務作業処理時間)
・待機時間(問い合わせの電話を待つ時間)

稼働率を把握することで、コールセンターへの入電数に対して、オペレーターの人数が適切であるかを判断できます。
人員管理や生産性の向上に役立つので、コールセンターの生産能力を示すKPI(重要業績評価指標)としても重要視されています。

また、稼働率を適正値に保つことで、業務効率化、生産性向上、顧客満足度の向上、離職率の低下など、さまざまなメリットが期待できます。

(2) 稼働率と占有率の違い

占有率とは、稼働率に対して待機時間を差し引いたもので、より直接的に顧客に関わっている時間の割合です。
稼働率との違いは、顧客からの問い合わせを待つ待機時間の割合が含まれるかどうかです。

例えば、占有率が高ければ直接的に顧客対応をする時間が多いことになりますし、占有率が低ければ待機時間が長くなります。
つまり、稼働率は全ての労働時間中の顧客対応時間の割合である一方、占有率は顧客対応時間の効率性を把握する指標ということです。

なお、どちらの指標も値が高ければ良いというものではなく、オペレーターの業務量に応じて調整するのが大切です。

(3) 稼働率の平均・適正値

コールセンターの国際的品質保証規格(COPC CX規格)では、月平均の稼働率86%を指標値と定義しており、日本のコールセンターでも一般的に80~85%が適切だといわれています。
稼働率の目標を設定する際は、以下を目安にするといいでしょう。

・0〜70%:人員配置見直しライン(余剰人員が発生)
・80~85%:適正ライン(理想的な状態)
・85~90%:注意ライン(オペレーターが不足)
・90%以上:危険ライン(離職の増加でサービスの質が低下)

稼働率が80%を下回っている場合は、入電に対してオペレーターが多い状態で、70%以下になると明らかに余剰人員がいることが予想できます。無駄な人件費がかかっている可能性が高いため、人員配置を見直しましょう。
他には、勤怠管理に問題があることも考えられるので、シフト管理・ステータス管理の徹底が必要です。

一方、稼働率が90%以上の場合は人手不足が予想されます。オペレーターの業務量が増え、疲労やストレスにより顧客対応品質は低下するでしょう。
また、このような状況はオペレーターの心身に負担をかけ、欠勤率の悪化や離職に繋がりかねません。

コールセンターの稼働率の計算方法

次に稼働率の計算について解説します。いくつか具体例を挙げながら紹介するので、自社の稼働率もチェックしてみてください。

(1) 稼働率の計算式

稼働率は顧客対応時間を勤務時間で割ることで算出できるので、計算式は以下のようになります。

稼働率 = 顧客対応時間 ÷ 勤務時間

顧客対応時間とは、顧客の電話、メール、チャット対応だけではなく、保留時間、後処理時間、待機時間など顧客対応に関連する全ての業務のことです。
そして勤務時間とは、給与支払いの対象となる時間(休憩時間は除く)です。業務時間中にミーティングや研修などが含まれる場合には、稼働率は低くなります。

注意点は、コールセンターごとに計算方法が少し異なることです。
例えば、パソコンのログイン時間を勤務時間とするケースもありますし、休憩などで離席した時間を差し引いて計算する場合もあります。そのため、正確な稼働率を把握するには、各企業、あるいはコールセンターごとのルールに従って勤怠管理することが大切です。

(2) 稼働率の計算方法

実際に例を挙げて、稼働率を計算します。

例えばオペレーターAが、1日9時間(1時間休憩)の労働、顧客対応時間が6時間だった場合の稼働率は以下のようになります。

Aの稼働率:6時間(顧客対応時間)÷8時間(勤務時間)=75%

また、オペレーターBが、1日4時間の労働、顧客対応時間が2.5時間だった場合の稼働率は以下の通りです。

Bの稼働率:2.5時間(顧客対応時間)÷4時間(勤務時間)=62.5%

ここではオペレーターA、Bの個人の稼働率をそれぞれ計算しましたが、実際にはコールセンター全体の稼働率を計算することも可能です。一定期間ごとに計算・分析することで、コールセンター全体の現状把握に活用できます。

コールセンターの稼働率を適正に保つためのポイント

最後にコールセンターの稼働率を適正ラインに保つための具体的な施策を紹介します。オペレーションの問題点などが明確になるでしょう。

(1) オペレーターの人数調整を行う

人員が多すぎる、または少なすぎることが原因で稼働率が適正値ではないことがあります。
稼働率が低く余剰人員が発生している場合は、シフトを調整して出社人数を減らしましょう。反対に稼働率が高く各オペレーターの負担が重い、人手不足の場合は新規採用を行います。

いずれも人数の調整を行いますが、適切な人数が何人位かわからなければ対処できません。そこで用いられるのが「アーラン式」という測定方法です。本記事で詳細には触れませんが、各オペレーターが入電処理にかける平均時間などを確認することで適切な人数を割り出せます。

(2) オペレーターのステータス管理をする

健全なコールセンター運営をするためには、指標となる稼働率を正確に割り出すことが重要です。そのため、オペレーターのステータスは細かく把握しなければいけません。
主なステータスには下記のようなものがあります。

・待機中
・通話中
・後処理作業中
・休憩、小休止中
・離席中

ステータス管理を円滑にするコツは、ステータスの項目を増やしすぎないことです。ステータス入力作業が増えると、かえって正確性を損なう可能性があります。

(3) 待機時間を有効活用する

コールセンターの生産性やオペレーターの定着率を高めるには、待機時間などの非生産時間の使い方が重要です。
例えば、教育・研修・面談などを通じて、スキルアップやモチベーション向上を図るのは効果的です。

コールセンターは時間帯によって入電数が異なるので、待機時間が多いときには少人数でシフトを組んで、非生産時間を有効活用しましょう。

コールセンターの稼働率を適正値に維持しよう

コールセンターにおける稼働率は、運営を健全化するために欠かせない指標です。稼働率を適正値に維持することで、業務効率化、生産性向上、顧客満足度の向上などを実現できる可能性が高くなります。

まずは自社のコールセンターの稼働率がどの程度なのか、割り出してみてください。そのうえで、本記事で紹介した3つの施策を実施できると良いでしょう。

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