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公開日/2020.8.7
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【保存版】ナレッジマネジメントに基づく「FAQ運用のすすめ」

【保存版】ナレッジマネジメントに基づく「FAQ運用のすすめ」

昨今では、コロナ禍の影響もあり、Webサポートチャネルの重要性が再認識されるようになっています。チャットボットやビジュアルIVR、サポートコミュニティなど様々なチャネルが改めて着目されていますが、それら含め様々なWebサポートチャネルの基盤となるコンテンツはFAQです。

本記事では、ナレッジマネジメントを機能させるFAQサイトの運用方法について、重要ポイントをまとめてご説明します。

FAQサイト運用で重要な2つの心構え

FAQサイトの構築から運用にかけて、重要な2つの心構えがあります。それは、「目的の理解」と「ユーザー視点」です。言わずもがなとは思いますが、多忙な日々のサポート業務やFAQサイト運用の中で、この心構えは忘れられてしまうことも少なくないでしょう。

(1) 目的の理解

そもそも何のためにFAQサイトを運用しているのか、しっかりと言語化をして全社的な共通認識を持っておくべきでしょう。目的がしっかりと定義されていると、運用の中で課題が生じた際に判断基準にもなります。
また、目的を設定する際には、「運用側(企業)が利用ユーザーに対して、FAQサイトを利用することでどのようになってほしいのか?」ということを考える必要があります。

【例】目的の設定:
・自分で困り事を自己解決してほしい
・利用者にサービスをもっと利活用してほしい
・FAQでナレッジ蓄積して社内知識を強化したい
・教育にかける時間を短縮させたい

目的が曖昧なままでサイト運営を始めてしまうとFAQサイトを作ること自体が目的化してしまい、FAQ作成の労力と時間が無駄になってしまいます。その場合、作成工数が無駄になるだけでなく、FAQサイトが利用されず運用が頓挫してしまう可能性すらあるでしょう。

(2) ユーザー視点

ユーザー視点という意識もやはり忘れずに意識し続けなければなりません。

例えば、「ログイン時にアカウントのパスワードを忘れてしまった」というとき、あなたが利用ユーザーだとしたら、どちらのFAQを参照しようと思いますか?
■パターン1: Q. 「パスワードを忘れてしまいました」
■パターン2: Q. 「アカウント情報の再設定について」

おそらく、大多数の方がまずパターン1のFAQを参照されると思います。FAQの質問タイトルから「まさに自分のいまの状況だ」と捉えることができ、同時に知りたい情報が当該ページ内にあると推測できるためです。
一方でパターン2の質問タイトルはどうでしょう。確かにパスワードはアカウント情報の一つのため、日本語として間違いはありません。しかし、自分が知りたい情報だけを注視して探している状況下では見落とされてしまう可能性の高い質問タイトルです。

このように、「利用ユーザーが求める情報は何なのか?」という視点が欠けてしまうと、FAQコンテンツがあるにも関わらず回答情報がないと判断されてしまうのです。
ユーザー視点を欠いたFAQサイトは役に立たないと評価され、使われなくなってしまいますので、この視点を念頭において考えるようにしましょう。

利用されるFAQサイトの3条件

目的を理解したうえでユーザー視点でのFAQコンテンツを十分に作成していたとしても、FAQマネジメントに基づく以下3つの軸がそれぞれきちんと担保されていない場合、FAQサイトは利用されなくなってしまいます。
FAQマネジメントを表現する画像

(1) 効率性

効率性とは、必要なFAQを探すことができるかが問われる要素です。「検索性」「アクセス性」「デザイン性」といった項目が含まれます。具体的には、サイトの集客導線をどう組むか、サイト内で情報にたどり着くまでがいかにスムーズか、といったことを考えていく必要があります。
「デザイン性」とは、革新的なデザインということではありません。トーン&マナーのようにFAQサイトを企業のテーマカラーにすることもデザイン性の一つですが、最も重要なのはユーザービリティという考えです。例えば、コンビニの店内に入った時にどこの店舗もだいたい同じレイアウトになっているため商品が探しやすいですよね。これと同じように、見つけやすく使いやすいことがFAQサイトにも求められます。
いかに使い勝手が良い/面倒くささ・ストレスのないサイトになるか、ユーザー視点で考えながら継続的に改善していく必要があります。

(2) 有効性

有効性とは、FAQコンテンツを見て自己解決をしてもらえるかが問われる要素です。「適量性」「有益性」「平易性」「インタラクティブ性」といった項目が含まれます。
具体的には、FAQの数をどれくらい用意するか、役に立つと思ってもらえるFAQを用意できるか、誰にでもわかりやすい内容になっているか、といったことを考えていく必要があります。
Webコンテンツを提供している各種サイトがそうであるように、FAQサイトもやはりコンテンツを通したコミュニケーションが非常に重要になります。
一例として、FAQページ内へ設置しているアンケートで「解決しなかった」という評価がつけられた場合、当該FAQの内容を見直し・改善しないままの状態でいるとどうなるでしょうか。アンケート投稿者は失望して、FAQサイトを利用しなくなるでしょう。このようにFAQサイトの利用者の行動をキャッチしてサイト上に反映させていくことがコミュニケーションの一つなのです。

(3) 運用性

運用性とは、FAQサイトの改善活動が継続して行える状態であり新しいサービスが入ってきた際にも柔軟に対応できるかが問われる要素です。「プロセス」「計画/体制」「分析」といった項目が含まれます。
具体的には、KPIとKGIを設定し、アクセス数やアンケート評価等の実績値から改善点を見つけて実行することが必要になってきます。

KPIとは、最終的目標(KGI)を達成する為の、過程を計測する中間指標のこと。
KGIとは、最終目標が達成されているかを計測する為の指標のこと。
KPIとKGIは企業経営上の目標設定と捉えることが多いですが、FAQサイトというプロジェクト単位で設定する場合はスケールが異なります。

下図に記載しましたが、企業活動でKPIになっていることが、FAQというプロジェクト単位になるとKGIの部分にスライドしていきます。
このように設定の際は粒度を間違えないように注意しましょう。
FAQ運用のKPIとKGIを解説する画像

FAQ運用で注視すべき4つの数値

FAQシステムを導入している場合、アクセス数、アンケート評価、閲覧率など、取得できるログは実に多岐にわたります。ただ、様々なデータが取得できる一方で、どの数値を追っていけばいいのか分からない、というお声もよく耳にします。
FAQシステムで取得できるデータの例示する画像

そこで、ここではFAQサイトのパフォーマンスを把握するために抑えておきたい4つの数値についてご説明します。

(1) セッション数/アクセス数

まずは、セッション数とアクセス数です。毎月、FAQサイトへのアクセスが増えているか減っているか、数値を見て一喜一憂していませんか? ここで重要なのは、セッション数に対してどれくらいのアクセス数があるのか比率をつかむことです。
まずは、セッション数とアクセス数の違いを確認しましょう。

 ■セッション数とは、FAQサイトの訪問者数にあたるもの。
 ■アクセス数とは、FAQコンテンツの閲覧数のこと。

【例】
・AさんがFAQコンテンツを2つ閲覧
・BさんがFAQコンテンツを1つ閲覧した場合
⇒ AさんとBさんの2名がサイト訪問しているため、セッション数は2
    FAQコンテンツは合計で3つ閲覧されたため、アクセス数は3

FAQサイトの目的が「利用ユーザーによる自己解決」である場合、ユーザーが知りたいことを迷わず一度で見つけることができたら優秀なFAQサイトといえます。セッション数とアクセス数の比率が1:1にどれだけ近づいているかをチェックしましょう。

一方で、FAQサイトの目的が「たくさん情報を見てサービスの理解を深めてほしい」ということである場合、ユーザーにたくさんFAQコンテンツを見てもらえることができたら優秀なFAQサイトといえるでしょう。セッション数とアクセス数の比率が1:Nで、どれだけ多くの情報がみられているかチェックするといいでしょう。

(2) 0件ヒット数/0件ヒット率

0件ヒット数とは、ユーザがキーワード検索をした時にFAQコンテンツが1件もヒットしなかった回数のことです。そして0件ヒット率は、0件ヒット数を検索回数で割って出す割合のことです。

これら数値からは、主に以下2つの事柄が確認できます。
■ユーザーが求めるFAQコンテンツがサイト上にあるかどうか。
■ユーザーの検索キーワードとFAQコンテンツ内で書かれているキーワードが合っているかどうか。
これらを確認することで、サイトのFAQコンテンツが足りているか、ユーザーがFAQコンテンツを探せているかを判断することができます。
FAQサイト開設直後の目安としては、0件ヒット率は30%未満がセオリーといわれています。つまり、10回検索したうちの7回はユーザーがFAQコンテンツを見つけられている状態といえます。

(3) FAQ閲覧率

FAQ閲覧率とは、ユーザーがキーワード検索をした後、その検索結果からFAQコンテンツの閲覧まで辿り着けているかどうかを判断できる数値です。

この数値からは以下の事柄が確認できます。
■FAQコンテンツのタイトルがユーザー視点での表現になっているかどうか。
■FAQコンテンツの数が多過ぎる/少な過ぎる結果、閲覧まで辿り着けていないことがないか
サイト開設直後の目安としては、FAQ閲覧率は70%以上がセオリーです。つまり、検索結果が10回ユーザーに提供されたうち、FAQコンテンツが7回閲覧された状態です。

(4) アンケートポジティブ率

ユーザーがFAQコンテンツを見た結果として、解決した/解決しなかった等の評価は、FAQサイトのアンケート機能を活用することで確認することができます。
アンケートポジティブ率とは、「解決した」「参考になった」等のポジティブな評価がどれくらいの割合になっているかを示す数値です。マイナス評価の割合が大きい場合、ユーザーから改善を求められているといえるでしょう。

現実的には、修正に割けるリソースは限られています。アンケート評価が低いFAQコンテンツをすべて直すことは、なかなか難しいことが多いです。
アンケートポジティブ率が低いFAQコンテンツの中でもユーザーの情報ニーズが高いといえる、アクセス数が多いものを優先的に改善していくことが現実的でしょう。

また、FAQの運用では、上記それぞれの指標を特別なWebの知識を必要とせずとも現場レベルで確認できることが重要です。

問い合わせ削減の効果を検証する方法

FAQサイトの運用も、企業内で予算をかけた取り組みであるため、目的に応じた効果検証とレポーティングが必須になります。
ここでは、大多数のFAQサイトの目的である「問い合わせの削減」に関して、効果検証の方法等をお伝えします。

FAQにおいては、システムの導入前と導入後で問い合わせ件数の比較をしてみたが問い合わせの総数があまり減っていない、ということも十分にあり得ます。ただ、問い合わせ件数が減っていないからといってFAQの効果がなかったかというと、実はそうとも言い切れません。

以下のような方法で改めて効果検証をしてみると、また違った結果が見えてくるかもしれません。

(1) どのような問い合わせが何件あったのか、内訳を把握する

FAQが問い合わせの抑止・削減に貢献しているかを検証するにあたり、用意したFAQと同じ内容の問い合わせが減っているかをチェックすることが重要です。問い合わせ全件数とFAQサイト全体のアクセス数を単純に比較するだけでは、本当にFAQが効果を発揮しているのか見えにくい場合があります。
まず、どのような問い合わせが何件あったか、内訳を確認しましょう。

【例】
・返品、交換に関する質問が○○件
・送料に関する質問が○○件
・申し込みに関する質問が○○件
・住所変更に関する質問が○○件
・キャンペーンに関する質問が○○件     など

(2) FAQアクセスの内訳を確認する

FAQサイトにおいてもアクセス数の内訳を把握することが重要です。FAQサイト改善という観点から見ても、改善の手がかりになることもあるため、内訳件数は確認しておきましょう。

【例】
・返品・交換カテゴリのFAQアクセス数は○○件
・送料カテゴリのFAQアクセス数は○○件
・申し込みカテゴリのFAQアクセス数は○○件 … 等

(3) 要素ごとに件数を突き合わせる

それぞれ内訳ごとの件数が出たら、同じ要素の件数を突き合せしましょう。FAQのアクセス増加に伴って問い合わせ件数が減少している状態であれば、FAQが問い合わせ抑止・削減に貢献しているといえます。
FAQの効果測定方法を示す画像
FAQで用意してある内容の問い合わせが減っていれば、ちゃんと効果があるといえます。
成果検証をするにあたって大切なことは目的に立ち返ることです。「お客様にFAQを利用して自己解決していただき、問い合わせ削減(抑止)する」という目的の場合、そもそもFAQで自己解決できるような問い合わせがどれくらいあって、それに対応しているFAQコンテンツがそろっているかどうか、という視点を持つことが重要です。

マーケティングFAQとしても活用可能

FAQといえばお困り事解決という印象がありますが、実はそれだけではありません。新しいサービスのリリースやキャンペーンを走らせるときなど、様々なシーンでFAQの使い道はあります。
マーケティングFAQの活用例を説明する画像
ユーザーの状況やサービスの流れに沿った形でFAQを用意しておくという視点は非常に重要です。サービス提供の流れの中でFAQが情報補完できるポイントはないか、改めて探ることも改善活動では必要になってくるでしょう。

まとめ: ナレッジマネジメントを実現できるFAQシステムを

本記事でご紹介した考え方や取り組みは、理解するだけでなく実践・検証までして初めて意味を成します。ただ、日々のサポート業務に従事する中でFAQサイトの運用改善に割けるリソースは限られているでしょう。だからこそ、効果的・効率的な運用が可能なFAQシステムの活用が非常に重要になります。

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